11日の 『ザ！世界仰天ニュース』 は、
苦渋の決断スペシャル
でした。
明日の自分への伝言
1997年7月、UK・リンカンシャー州
新郎イアン・フィルポッツ（Ian Philpots；33歳）と新婦ミシェル（Michelle；35歳）の
結婚式が行われた。
↓ Ｗｈａｔ’s Ｏｎ ｘｉａｍｅｎ より（以下2点）
ある朝、目覚めたミシェルは言いようのない不安を感じた。
見知らぬ風景･･･自分がどこにいるのか分からない。
ミシェルはイアンと結婚したことも覚えていなかった。
夫のイアンは冷静にミシェルに事情を説明。
2人の結婚、新居、そして、ミシェルの記憶は1日しか保たないこと。
1989年、10代の頃から付き合っている2人は、どこにでもいる普通のカップル
だった。
しかしある日、ミシェルは頭を強くぶつける事故に遭った。
意識不明の状態で緊急搬送されたが、幸い大事には至らず、すぐに退院出来る
ということだった。
しかし、脳波検査などの結果、思わぬ宣告を受ける。
頭を強く打った事が原因で、「前向性健忘症」になる恐れがあるという。
前向性健忘症…大きなストレスや脳への異変により、異変が有った以後の記憶
が薄らぐ症状。
記憶には記銘・保持・再生という3ステップが有る。
記銘とは、経験した内容を覚え込み、定着させること。
保持は、その日に記銘された経験内容を夜寝ている間に整理し、
維持する過程。
再生とは記銘・保持したことを思い出すこと。
ミシェルの場合、記銘と保持が出来なくなる可能性が有るということだった。
間もなく、心配された症状が現れ始め、日常生活も困難に。
イアンは、自分が何をしてあげられるのか思い悩んだ末、ミシェル34歳の誕生日
にプロポーズをする。
そして、事故から7年目、2人は結婚した。
結婚を機にミシェルの実家の近くへ引っ越し、新婚生活は順調だと思われた。
しかし、ある朝目覚めると、ミシェルの事故後の記憶が無くなっていた。
イアンと結婚したということさえ覚えていない。
イアンの必死の説明で、何とか夜までには結婚している事情や記憶障害である
ことを認めるまでに到ったが、また翌朝には全ての記憶がリセットされる。
イアンは、毎朝ミシェルに説明した。
そして、ミシェルはその日あったことは全てメモに書き留め、一日の終わりに、
ボードに貼るようにした。
それはまるで、明日の自分への伝言の様だった。
イアンは、二人の思い出を写真にとって記録し続け、ミシェルも日記に記した。
それでも、今日の事は明日には忘れてしまう。
ミシェルはベッドに入る度に、自分だけが世界から取り残されていくような孤独感
に襲われた。
イアンはそんなミシェルの笑顔を取り戻したいと思い、ある行動に出る。
ある朝、目を覚ましたミシェルの目に入ったのは一冊のノート。
それはイアンが作った手作りのアルバム。
そこには出会った頃から、事故の事、そして結婚に到るまでの二人の時間が
記されていた。
これを読み終えると、ミシェルはこれまでの朝のように混乱を起こさず、落ち着い
て生活出来るようになった。
↓ 現在のミシェル・フィルポッツさん
結婚から15年。
ミシェルは、携帯電話の機能を利用して日々の生活に役立て、イアンもそんな
ミシェルを支えている。
絶え間ない努力で多くの困難を乗り越えてきた2人。
今も支え合いながら生きている。
実は、ミシェルさんは、1985年にバイク事故、1990年に自動車事故と2度の事故
に遭っています。
症状が出始めたのは、2度目の事故に遭ってから。
プロポーズから結婚まで時間が経過しているのは、この為です。
映画 『メメント』 でも有名ですが、前向性健忘は人によっては数分間しか記憶
が維持出来ないケースも有ります。
これは生命活動に影響が無いとしても、精神的にキツイですね･･･
社会活動（働くことなど）もかなり難しいですし･･･
鬱病を併発してもおかしくないのでは（そういうきっかけになる感情の記憶も
リセットされるのでしょうか？）
いずれにしても、自分というものは、どんな些細な事であれ過去の積み重ねの
上に存在するはずで、それが毎日リセットされるのは、「自分」が揺らぐ事に
ほかなりません。
その不安は如何ばかりか･･･
参考記事：「まるで『インセプション』!? 患者に偽の記憶を植え付けた心理療法士に判決」
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