中国において、「お客様は神様」ではない。
客の要望に答えられない時も、「お客様、申し訳ありませんが、~」というフレーズを言う人は滅多にいない。それさえ言っとけばもっと中国社会平和になるのに・・・。
なぜならば、最近こんな事件があった。
ショーンの学生から聞いた話である。
ある初々しい18歳女子は初めての仕事として、クレジットカードの申し込み受付をまかされた。
申し込み資格にかなう人に、用紙に記入してもらう。
ある日、40代前後の夫婦が申し込みに来た。夫のほうは資格にかなったが、妻のほうは資格にかなわなかった。
少女は単刀直入に言った。「あなたは資格にかなっていませんから申し込めません。」
するとその妻は怒ってわめきだした。
「生意気な事言うんじゃない、この小娘!」生意気って言ったってねえ・・・。
「出来ないものは出来ません!」
少女も頑張る。
むちゃくちゃな客は、ますます大声でわめき散らした。
野次馬も少女に同情した。「やめなさいよ、こんな若い子に向かって・・・」
少女は真面目な顔つきで何度も言った。
「わたしのせいじゃありません、ですからあなたは資格にかなっていないので出来ません!」
その前に「申し訳ありませんが」が入ればねぇ・・・。と日本人としては思ってしまうのだが、言ったところで客がつけあがってしまうだけなのだろうか。
決着はこうである。
結局少女の上司が呼び出された。
「あ、お申込みですか?ハイハイこちらにお書きください。」 え?いいの?
客はそれはそれは満足げに申込書に記入した。
「はい、以上で結構ですよー。あとは許可がおりましたらご連絡差し上げますからね。」
客は得意げに帰って行った。上司、これで本当にいいの?
客の後ろ姿が見えなくなった瞬間、上司はその申込書を手で破った。
「え?」少女は目を丸くした。
「書きたいって言うやつには書かせりゃいいのよ。」 上司は用紙を破りながら言った。
でも、相手がまだかって聞いてきたら?
「まだ許可がおりていません。」 と永遠に言い続けるとの事。
さすがぁ。少女は納得した。
ショーンも納得した。このようにして若者は「中国社会」を学んでいき、「申し訳ありませんが」のない社会が出来上がっていく。
教えられてないんだもん、確かにしょうがないよね。
この仕組みが分かると、「店員が神様」みたいな場面に直面しても、少しは平静を保つ事が出来るようになるものである。