中国のバスに時刻表なんてない。

そういう訳で、バス停に着いたらその辺の人に聞く。

「どこどこ行きのバス行っちゃった?」

その返事によって、自分がどれぐらい待たなければならないか分かる。

先日ショーンもそのようにして聞き、乗りたいバスがたった今行ってしまったと知った。

待つ事20分。来ない。どどど、どうしよう。授業に遅刻してしまう。

もうだめだと判断し、タクシーに乗った。

「・・・会社まで。」

「え?知らないよ、どこだ?」

そう言いつつも運転手は車を走らせる。

確かに最近ショーンが行っている所は、かなり街外れである。

とりあえず近くの場所を言って分かってもらえた。

しかし、いざそこに着いてから、ショーンとした事が道がよく分からなくなってしまった。

「どっちだ!右か!左か!早く言ってくれ!」

運転手はせかす。

ちょっと会社の人に電話するから停まってくれないかな。

「ここは停まったら捕まるからだめだ!」

しかしそこは、ほとんど車が通らない僻地である。だれが捕まえるんだ??

最後はやっと停まって電話した。結果、やはり近くまで来ていた。

やれやれ。

タクシーは高速道路ですか、と言うぐらい飛ばす。

おかげでいつもと同じ時間に着いた。

「・・・のそばに何がありますか?」の例文で

「・・・会社のそばに何がありますか?」

と学生さんに質問してみた。

さっきみたいな場合、運転手になんと言ったら良かったかしら?

「田んぼがあります。」「畑があります。」

むむむ、それじゃあいつまでたっても着かないよ・・・

 

 

 

最近ちょっと遠くまで日本語を教えに行っている。

路線バスの終点まで乗る。最後はいつもショーン一人である。

ショーン以外の乗客が皆降りると、運転手はいつも決まって言う。

「まだいるのか?」

いるのかって、いて悪いのか?

「どこまで行くんだ?」

終点だよ。終点以上まで行ってくれるのか?

運転手は不服そうに終点まで行く。

ところが昨日、運転手はショーンを見落とした。

バスにはショーンと、もう一人おじさんが残っていた。おじさんは、何やらバス停ではない所で降ろしてもらっていた。

「ありがとう、どーもね、」

「いや、それほどでも」

さすが臨機応変の中国である。

土地カンのあるショーンは何か嫌な予感がした。いつもと微妙に道が違う。

運転手はすぐにショーンに気づいた。

「まだいたのか!?」

いるよ。終点まで。

すると運転手は突然バスを停めた。

「ここで降りろ。お前の言う終点はあっちだ。」

え?確かにショーンの目的地はあっちである。

「路線が変わったんだよ、ずっと前にな!」

そう言われると一瞬そうなのか、と思ってしまう。

ずっと前だと?ショーンは3日前にも乗ってんだよ、知らないなこの運転手!

さぁどうするショーン、戦うか?

時計を見ると、今ならまだ歩いても間に合う。ここで戦って、万一負けたら遅刻する。仕方ない、今日は引き下がるとするか。

歩きながら仕返しを考える。

バス会社に電話するか?路線と、だいたいの時間を言うとか?

いや、運転手の名前もつかんでないし、電話したところで相手にされないこと間違いなし。以前のショーンなら電話してたかもしれないが、数々の経験を通して、おおよその結果が読めるようになった。

生徒さんに話すと、「ははは」と軽く笑われて終わった。

つまり、騙された方が負けなのである。

むむむ、やられたぜ。

 

 

 

そろそろ寒くなってきた。街路樹も冬支度をする。

皆さんの街の木々は、どんな寒さ対策をされているでしょうか。

ショーンが最近見かけたのは、縄でぐるぐる巻きにされている街路樹。

なるほどね。あったかいし、まっすぐ育つのかしら。

ふと見ると、広い歩道で食事を終えた家族が長縄とびをしていた。

ほー、中国人も長縄とびができるのか。

「いーち、にー、」

なかなか良い団らんですなぁ。

ふと見ると、長縄は本当の縄だった。

ふと見ると、近くの木の寒さ対策の縄がなかった。

「ハックション」

あーあ、木が風邪引いちゃうよ。

終わったらちゃんと巻いとくんだよ。