今回は番外編。
最新の本編を読む
中学時代、憧れの先生がいた。
極度の運動音痴で、体育の授業は
仮病で休む毎日だったが、
体育の先生に密かに憧れていた。
当時53歳、喫煙者だった。
休み時間には、学校の校舎裏にある喫煙所に
遊びに行き、先生と話した。
不登校だった頃もあったが、
卒業する時に連絡先を聞いた。
今のようにLINEなんてものはない。
電話とメールが主流だった時代。
何度かやり取りをして
高校生になってすぐに食事に行った。
地元の飲食店で昼間に食事。
ごく普通の健全な先生と元生徒。
卒業してからも憧れはあったが、
まだ子どもな15歳。
その先なんて考えていなかった。
それから、家から電車で3駅の場所で会い、
食事をしたことがあった。
3回目の食事の約束の日。
ゴールデンウィークだったと思う。
駅で待ち合わせして、先生の車に乗り込む。
「ホテルでも行くか?(笑)」
変な冗談だと思い、
なんと返していいかわからず流した。
車は進んでいった。
着いた先はどこかの駐車場。
どこに連れて来られたのだろう。
まさか、ね。
着いたのは、ラブホテルだった。
生まれて初めてのラブホテルだったが、
これから何をされるのかわからず、
不安しかなかった。
私は性の知識がなく、
やっぱり何をされたのかよくわからなかった。
最後まではされていない。
まだファミレスの彼氏と付き合う前の話。
何をされたのかよくわからないまま
帰宅した。
誰にも言わなかった。
ホテルでされたことはよくわからなかった。
だが、ホテルに連れて行かれたことは、
なんだか裏切られたような気がしていた。
だが、憧れの人。
私がなんだかよくわかってないだけなんだ。
次に会うときに様子を見てみよう。
そう思った。
次に会った時、また駅に車で迎えに来た。
車に乗ること自体、少し怖かったが、
思い切って乗ってみた。
着いた先は、ホテルではなかった。
なんだ。
やっぱりこないだのは、
なんかの間違いだったんだ。
そう思って、先生に着いていくと、
そこはアパートの一室だった。
既婚者で子どもがいると聞いていたが、
着いた部屋には誰もいなかったし、
家族が住んでるとは思えないワンルーム。
「ここ、俺の隠れ家。」
そう言って、
布団でよくわからないことをし始めた。
その時も最後までしていなかったと思う。
先生は服を脱がなかった。
一方的に私は触られた。
少し傷ついた気もしたが、
よくわからなかったし、
なんか大人なことをしてるんだろう。
わからないのは私がまだ子どもだから。
わからないと言ったら
バカにされるかもしれない。
そう思って黙っていたし、
当時はその後も誰にも言わなかった。
先生からしたら、
ちょうどいい存在だったのかもしれない。
私には中学の友達がほとんどいなかった。
友達がいないまま中学を卒業した高校生。
話が漏れる心配があまりなかったのだろう。
「挿れないよ。
犯罪になるから。」
そう先生は言っていたが、
よくわからなかった。
今思えば、充分、犯罪だとわかるが、
とにかくよくわからなかったし、
今これを書いていても、
よくわからない。
ただ、身長が高く、発育は良い方だった私は、
何かとそういうことをされやすいんだと、
後に思った。
先生とは自然と連絡を取らなくなった。
この記事を書いていく中で、
ふと気になり、先生の名前を検索してみたが、
どこにも名前はない。
それもそうか。
まだインターネットが普及し始めた頃。
SNSなんて限られた人しかやっていなかった。
それに、15年以上も前の話。
先生も70歳近いはず。
もう二度と会うことはないだろう。