『永い言い訳』 西川 美和/著 | パンダの日記「パンダ日和」 by pandaosaco

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何が必要で、何が大切なのか――?
時に初心に立ち返り、自身の傲慢・慢心へ問いかける。
それが全ての糧となると信じて (C)Pandaosaco

 
 その前に、これも読み終えておりましたが、

Wシリーズ 第3弾

 このシリーズは何処から読んでも良いわけではなく、きちんと第1弾から読み進めないと理解できないもので、一冊ごとに完結しておりません。

 なので、第3弾と云うよりは、“第3巻”。
 そんなわけで、完結するまで感想を書くのは辞めることにしました。


 で、今回は初めての作家さんです。

映画化もされてるらしい

 突然事故で妻を亡くしたものの、その死の受け止め方に何処か他人事のような距離感。

 飄々とし一癖も二癖もありそうな作家幸夫(しかし何故か憎めない)の長い言い訳のような作品なのだが、その語り口は終始軽妙。

 またその事故によって生まれた或る家族(妻と一緒に事故死した妻の友人の遺族)との交流が空々しいまでに爽やか。

 森作品を読んだ後だからか、その軽さにあっという間に読み終えてしまいました。


 あまりに軽妙すぎて、リアリティだとか深刻さだとかを、私は彼の言い訳の中に感じることは出来ませんでした。

 彼が泣けなかった理由は、愛情云々ではなく、そのリアリティのなさなのでは…と疑ってみるほど。

 そういう不器用な人間と、感情のコントロールが出来ないもう一人の不器用な男(亡き妻の友人の夫)との間にある友情とはまた違うような関係に癒されたりね。

 どんな形であれ、自分の存在する意義を感じられる何かを見つけることで、人は生きていける力を得ていけるのかもしれないね。


 ただ――…、人によって立ち直り方は様々なように、本当に事故で大切な方を失くした方がこれを読めば、そんな軽い事じゃないだろ、と悲しくなってしまうかもしれない。

 中々難しいテーマに挑戦されたな、と思います。