お越しいただきありがとうございます。


夏休みも四日目。家にずっといても平気なしろくろです。

家族からは呆れられていますが、全く苦になりません。

お陰でお話もだいぶ進みました(‐^▽^‐)。


仕事が始まればまた停滞する事間違いないので妄想にひたすら励みたいと思います。

読み返しをしていますが、誤字・脱字等ありましたら寛大な心でスルーしていただけると助かります。


ではお話に。



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控え室の前に着くと先に歩いていたミナムが立ち止まり後ろを振り向いてミニョを見た。


「開けるけど・・・」

ミニョは覚悟を決めたように頷いた。

二人が何を考えているのか分からないシヌとジェルミは一歩下がって様子を見ることにした。


「ヌナ、遅くなってゴメン。

予想以上楽しくって、ねぇジェルミ」

いきなり名前を呼ばれたジェルミは控え室前でミニョを見ていたミナムと違う姿に戸惑ったが話を合わせる様に後ろから顔を出しグッズ販売の成果を自慢げに話し始めた。


一緒に戻ったミニョは目立たないよう部屋の隅に立ち、シヌはテギョンを見て空いた椅子に座って身振り手振りを加え話すジェルミとミナムを見ていた。

時々テギョンの顔色を窺うようなミニョの姿が気になった。さっき会った時薄っすら赤い目をしていたミニョ。

泣く理由は一つしかないはずだ。入りの時間より早く会場に来たテギョンの行動はミニョの為としか考えられない。


自分が来るまでの間何があったんだろうか?。


ミニョを気遣いワザとらしいほど明るく振舞うミナムも気になった。


「俺達が売り場に立ったから予想以上に売れたんだ。アン社長も大喜びで“四人で立ったらもっと売れたかも”って。

頑張ったから冗談のつもりで今日のパーティー費用を出して貰えるか聞いたらOKしてくれるたんだよ、ご褒美にって。ヒョン、俺達偉いでしょ?」

ミナムがテギョンを見て言うと半分呆れたような顔をして頷いた。


「今日のパーティーは大いに盛り上がれるね、ライブの後の花火を見ながら皆で楽しく出来そう。会場に来てくれたみんなの為にライブ頑張らなきゃ」

ジェルミの頭の中はライブを通り越しすでにパーティーをしている様子が浮かんでいた。


「俺達が売り場に立ったから人が集まってグッズがいつも以上に売れ始めたら他の所も同じ事し始めちゃって。

お客さんが会場になかなか入らなくて最初の方に歌う人たちに迷惑かかるからタレントは一斉に売場から引き上げさせられたんだ。

あのままずっといたら全部売れたかもしれないのに」

残念だったがファンと直接会えて嬉しかったと二人は機会があればまたやりたいと言っていた。

日頃、事務所に行けないファンの子達はこの貴重な機会を逃したくないと会場に入るより売り場に集まってしまったようだ。

一気に喋り終えると急にお腹が空いたとジェルミとミナムはテーブルに用意された果物やお菓子を食べ始めた。


「お腹空いたでしょ?。今、マー室長がお昼を持って向かっているからちょっと待ってて」

ワン・コーディが言うとミニョは手伝いに行くと急いで控え室から出て行った。


「俺も手伝いに行こうかな?」

ミニョの後姿を見たジェルミがそわそわして出て行こうとすると“すぐに戻るだろう”とシヌに止められ仕方なく入り口が開くのを待っていた。

控え室を出て直ぐの所でミニョは両手に食べ物の入った紙袋を重そうに提げているマー室長を見つけた。

急いで駆け寄り片方の紙袋を受け取り一緒に並んで控え室に向かった。


「今日はお手伝いしてくださるんですね、助かります。シスターがいるときっとテギョンも安心してライブを出来ると思います」


「皆さんのお役には立てそうにもありまでんが・・・。マー室長、今はシスターではないですから普通に名前で呼んで下さい」

恥ずかしそうにミニョが言った。

小声でミニョの名前を何度か練習をしたマー室長だがやはり慣れた言い方のほうがと言うとミニョは笑って頷いていた。

二人が控え室に着くと待ってたとばかりにジェルミとミナムが紙袋の中を覗いていた。

テーブルの上に広げられたテイクアウトのお弁当やサンドイッチ、お菓子を見てテギョンとシヌにどれが良いか聞くとテギョンは今は要らないと首を振りシヌは先に選んで良いよと言ってギターを触っていた。


「準備するまで少し時間があるか?」

テギョンがワン・コーディに聞き“一時間位なら”と答えるとテギョンは外に出て行こうとした。


「外に行くの?。だったらミニョ、テギョンが途中お水を飲みたくなるかもしれないから何本か持って付いて行ってくれない。

何処がで迷子になるかもしれないからちゃんと連れて帰って来てちょうだい」

テギョンは口を尖らせワン・コーディを睨み、ミニョは水のボトルを持てるだけ持とうとした。


「二本で充分だ」

そう言うとテギョンは控え室から出て、ミニョは水のボトルを二本だけ持ち小声で“いってきますす”と頭を下げて置いていかれない様にとテギョンを追いか掛けた。

二人が出て行くとワン・コーディは声を出さないよう“大丈夫よ”と心配そうな顔をしたミナムを見ながら言った。

控え室を出て行った二人をシヌ、ジェルミ、ミナムはそれぞれ色んな事を考えていた。




長い足で歩くテギョンの後ろを小走りで一生懸命追いかけるミニョ。パタパタと聞こえてくる足音が気になり時々振り返るテギョン。

控え室から大分離れると歩くペースを落とし始めた。

テギョンの歩くスピードが落ち追いつくと肩で大きく息をするミニョを見て苦笑いしていた。


「運動不足なんじゃないのか?」

苦しくて体を折りながら息を整えているミニョを見下ろしていた。


「オッパ・・・の・・・歩くスピードが・・・早いん・・・です。わざと・・・ですよね」

息が上がって上手く話せないミニョは少し苦しそうにテギョンを見上げた。


「お前と俺では足の長さが違ったな。トッキのお前ならこの位のスピードは大丈夫と思ったが・・・やっぱり無理なようだな」

片側の唇を上げながら頬を膨らましているミニョを見て言った。


「足の長さが違うって分かっているならもう少し気を使ってくれても良いのに・・・」

テギョンに聞こえないようミニョは小さな声で呟いた。


「はぁ?。この俺が誰に気を使うんだ?。俺の為に水を持つのが今のお前の仕事なんだから俺に合わせるのが当たり前だ」

納得いかないと思いながらも“すみません”と頭を下げたミニョにテギョンは右手を差し出しニヤリと笑った。

差し出された手とテギョンの顔を何度か見た後、ミニョは水のボトルが落ちないように片方の腕で抱え、空いたほうの手を恥ずかしそうにテギョンの右手の上に重ねた。


「コ・ミニョssi・・・、周りにどれだけの人が見ているか分かっているよな?。

手を繋ぎたい気持ちは良~く分かるが・・・。俺は構わないがコ・ミニョssiは大丈夫なのか?」

慌ててテギョンの右手に乗せた自分の手を引っ込め真っ赤な顔をして周りを見渡した。


「み・ず」

一言一言テギョンがハッキリと言うとミニョは俯きながら水のボトルを一本手渡した。


「勘違いもお前らしいな。暑いからお前も小まめに水分を取らないと倒れるぞ」

ミニョの持っているもう一本の水を見ながらテギョンが言った。


「大丈夫です、元気だけが取得ですから。戻ったらちゃんと飲みます」

もう一本の水もテギョンの物だと大事そうに抱えた。


「お前の分も合わせて二本持って来させたんだ、ちゃんと飲め。

ここでお前が倒れたら俺がヌナやミナムに何と言われるか・・・。黙って言う事聞け」

周りに迷惑を掛けてしまうのは申し訳ないとミニョはもう一本のボトルを開けようとするがキャップがきつくなかなか開けられない。

開けようと必死な姿にテギョンは笑いを堪えた。


「キャップも開けられないのか?。全くお前は俺がいないと何も出来ないのか?」

呆れた振りをしてミニョからボトルと奪うと簡単に一瞬でキャップを開けてミニョに返した。


「何も出来ないなんて・・・。キャップが開けられない位でそんなに大袈裟に言わなくても・・・」

聞こえないように呟いたつもりがテギョンに聞こえていたようでキッと睨まれバツの悪そうな顔をしてミニョは俯いた。


テギョンは水を口に含んで飲むと今度はミニョに合わせて歩き始めた。

ゆっくりとした足取りにミニョも少し離れ後ろから付いて行くと人差し指を立てもう少し近くに来るように言った。

近付き過ぎないように距離を保ち時々テギョンの横顔を見てミニョは嬉しそうにしていた。


「さっきは悪かったな。ヌナに聞いた」

前を向いたままテギョンが言った。


「あっ、私の方こそすみませんでした。すぐに言えば良かったんですけど」

テギョンにだけ聞こえるように呟いた。


「今はこれ以上は話せないからライブが終わったらゆっくり話をしよう」

前を向いたままのテギョンの横顔を見てミニョは頷いた。


ステージ近くに来ると既にライブ始まっていてステージから今最も人気があると言われるガールズグループの歌が聞こえ会場からはその歌が消される位の大きな声援が聞こえてきた。

ステージ横には次の出演予定のグループが緊張した面持ちでステージを眺めていた。

テギョンがステージ横に近付くと周りのスタッフが頭を下げ声を掛け始めた。

仕事の表情に戻ったテギョンを見てミニョは邪魔にならない様そっと離れた所からテギョンを見つめていた。

メンバーと一緒に居る時とはまた違った仕事の顔。ミニョと二人っきりの時だけ見せる優しい顔。どの顔もミニョは大好きだ。

少し離れた所でス仕事の顔をしたテギョンを見ながら時々自分の胸に沸き起こる疑問を再び自分に問いかける。


(オッパの横にいるのは本当に私で良いんでしょうか?。もっともっとオッパに相応しい方が何処かにいらっしゃるのではないでしょうか?。)


親しげに声を掛けてくる女性タレントに仕事の顔とはいえ笑顔を見せるテギョンの横顔を見ると胸が苦しくなり自分の存在を否定したくなる。


テギョンが世間に公表しようと言う度に頭の中で大勢の人の前に立つ自分達を想像する。

祝福よりも余りにも違いすぎる二人に“どうしてミニョを選んだのか?”と質問する記者の声とカメラのフラッシュが光る。

この先の期待や希望よりテギョンと離れなければならない時が来たらどうしようと不安だけが残る。

無意識に暗い表情をしぼんやりしているとテギョンと目が合い慌てて微笑んで見せた。

テギョンは話し相手に挨拶をしミニョの所に戻ると帰りは並んで控え室に向かって歩き始めた。


「待ってる間、また変な事考えていただろう?」

前を向いたままミニョに話しかけるとミニョが驚いたように瞳を左右に揺らした。


「お前は嘘が下手だからな。思った事も正直に顔に出るから助かるが・・・。

また“どうして・・・?”、“何で・・・?”そんな事ばかり考えていただろう?。

お前が見ている今の俺は仮の姿だ。本当の姿はメンバーにだって見せてはいない。

お前と二人でいる時の俺が本当だと思え。

俺もジェルミ達が知らない俺だけの本当のお前を知ってるから」

意味ありげに言うとミニョが不思議そうな顔をしてテギョンを見た。


「本当の私ってどんな私ですか?」

周りの人を気にしながらミニョはテギョンに何回も聞いていた。

お越し頂きありがとうございます。


夏休み中なので比較的きちんと更新できていて自分でもホッとしています。

相変わらず会話の部分が多く今回も文字がギッチリと並んで読みづらいかもしれません。

お許しください。


ではお話に。



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「コ・ミニョ」


「は、はい」

テギョンに名前を呼ばれ無意識に返事をしてしまった自分に驚いた。

半信半疑で呼んだ名前に素直に反応したミニョをテギョンは真っすぐ見つめた。


「コ・ミニョ」

人差し指を曲げながらもう一度名前を呼ぶと水を持って来た時と違いゆっくりとした足取りで向かって来るミニョを見ると自分の所に来るのを拒んでいるように感じた。


「どうして俺がここに入って来た時に言わなかったんだ」

低く諭すように聞いた。

最初に言えばこんな事にはならなかったとミニョはテギョンを前にして両手をグッと握り締め下を向いたままだった。


「俺の目をちゃんと見ろ」

申し訳なさそうにテギョンを一瞬見上げたが動揺している表情を見られたくなくてすぐに顔を伏せてしまった。テギョンはミニョの顎に手を掛け自分の方を向かせた。鋭い瞳に無言で見つめられると唇をギュッと噛み締め言葉が出ず自然と涙が溢れてきた。


「泣く事はないだろ?。言えないならライブが終わってから聞く」

ミニョの泣き顔を見るとこれ以上は聞けなかった。ミニョの顎から手を離し頭を抱えながら椅子に座って大きく溜息をついた。目の前にいるテギョンの項垂れた姿を見てミニョはどうして良いのか分からなくなった。


(オッパを怒らせた・・・・・。あの時直ぐに言っておけば良かった。ライブが台無しになったら私のせいだ・・・。)

この場で泣いてはいけないと思っていても涙が溢れて止まらない。気付かれないよう涙を拭いてテギョンの肩に触れたくて手を伸ばそうとしていた。




「ミニョ、待った?。あら、テギョン来るの早いんじゃないの?」

ドアを開けて入ろうとしたワン・コーディは二人の雰囲気を察し近付いて来た。ミニョはすぐに背を向けもう一度涙を拭いた。


「ミニョ、テギョンも来たしそろそろミナム達にも帰って来て貰いたいの。悪いけど呼んできてくれる?。シヌももう来ると思うから。二人のいる場所は分かるわよね。

行き違いになるといけないから連絡取れるようにちゃんと携帯電話持って行ってね」

ミニョは頷くとさっきテギョンが手に取ったバックから自分の携帯電話を出した。画面を見るとテギョンからの着信履歴がいくつも残されていた。

どんなに自分の事を心配してくれてるのかと考えるとミニョの胸が苦しくなった。

椅子に座ったまま自分の方を見てくれないテギョンに悲しくなったがワン・コーディに頭を下げ無理に笑顔を見せ控え室を出て行った。


「気に入らなかった、私からのサプライズ?。テギョンに喜んで貰おうと思ってミニョに無理やりお願いしたの。ミニョはテギョンに許可を取らないと絶対怒られるからって物凄く嫌がってたけど・・・。

それではサプライズにはならないでしょ?。

実は今日お願いしていたアシスタントの女の子が急遽来れなくなって困っていたから早く着いたミニョにお願いしたわけ。私も助かるしテギョンも含め皆も喜ぶかと思って。

ミニョは何も悪くないから、もしテギョンを不機嫌にさせたのなら私が謝るわ。

だからミニョを怒ったりしないで」

ミニョは何も悪くないと説明をするとテギョンはワン・コーディーの顔を見ないでわかったと頷くだけだった。


「お願いだからミニョが帰って来たらいつも通りにして。何度も言うけどミニョは私に言われた事を守っていただけなんだから。

それから今日一緒にメイクを担当する女の子達はミナムの妹だって事は知らないの。だからミニョには普通に接してくるからミニョが可哀想に思えても不機嫌な顔をしちゃ駄目よ。テギョンの恋人だって事も勿論知らないんだから。

こんな事させなくてもと思っているかもしれないけどライブの間ミニョを一人っきりにしておく方がテギョンも心配でしょ?

目に付く所にいればテギョンもミニョもお互い安心するかと思ったのよ。だからミニョの事多めに見て」

誰よりもテギョンに迷惑を掛けたくないと思っているミニョをワン・コーディは必死に庇った。

テギョンもこれ以上は何も言うべきではないとワン・コーディを見てもう一度頷いた。


サプライズだと言われてしまえばそれまでだがテギョンはミニョには隠し事をして欲しくなかった。

ミニョの考えている事、やりたい事、やろうとしている事全てを知りたいと思っている。

自分が力に慣れるなら全てを差し置いても叶えてやりたいと・・・。

“内緒”だと先に言ってくれればそれなりの演技だってしたのに・・・。

理由を聞かず先にミニョを責めてしまった。


(会えるのが楽しみだと言ってくれたあいつにこの場にいてくれた事に感謝すれば泣かせる事も無かったかもしれない)


鏡の前で頭を下げ考え込むテギョンを気にしながらワン・コーディーはメンバーが揃ってすぐに準備が始められるようにと一緒に来た女の子に指示を出していた。




控え室を出てミナム達を呼びに出たミニョは何も考えられず売り場が分からないままただひたすら歩いていた。

反対方向からグッズ販売を終え気分良く帰って来ているジェルミとミナムの姿も全く目に入っていなかった。


「あっ、ミニョだ。ミニョ~」

手を振り大きな声で名前を呼びながらジェルミが走ってきた。後ろからのんびりとミナムが歩いて行くとミニョの様子がおかしい事に気が付いた。


「どうしたんだ、何かあったのか?」

ミナムの顔を見てニッコリ微笑んだミニョは泣きそうになるのを必死に堪えた。


「何か言われたのか?。お前を泣かしたのは誰なんだ?」

怒った表情でミニョの肩を揺さぶった。隣にいるジェルミはオロオロしながら二人のやり取りを見ていた。


「大丈夫です。オッパの顔を見て安心しただけだから・・・」


「何かあったんだろ、言ってみろよ。俺がちゃんと解決するから、な」

ミニョの頭を優しく撫ぜた。必死に堪えていたがミナムの言葉にミニョは我慢できず声を出さないように泣いていた。


「テギョンオッパにばれました・・・」


「ヒョンに何て言われたんだ。酷い事言われたんだろ?」

顔を強張らせ控え室に走っていきそうになるミナムをミニョが必死に止めた。


「違うの、何も言われてない。どうして私がこの格好でいるのかも説明も出来ませんでした。何かあったらオンニが上手く言うからって言って下さったけど・・・・。オッパを怒らせてしまいました。ライブが上手くいかなかったら私のせいです」

もともとミナムが考えワン・コーディーに無理やり頼んでミニョを巻き込んでしまった。最初はテギョンのビックリした顔を見てやろうと面白半分でやった事だった。結果ミニョを泣かせてしまってミナムも心の中で動揺していた。


「シナリオ通りにいかないな・・・」小さな声で呟いた。

「シナリオって?」ジェルミが不思議そうな顔をしてミナムを見ていた。


「いや、何でもない。ミニョ、気にするな。ヌナがきっと上手く説明してくれてからお前は何も言うなよ。後で俺もヒョンに謝っておくから。お前がヒョンを怒らせたと思ってもライブとは全く関係ないよ。ヒョンはどんな事があっても仕事は完璧にするから大丈夫だよ。お前がそばで見ていると思ったらいつも以上に頑張るよ」

顔を覗き込みながら慰めるとミニョも涙を拭きながら微笑んだ。未だに事情が分かっていないジェルミな二人の顔を見ながら大丈夫だと頷いていた。


「こんなに大勢の前で女の子を泣かせているのは何処の誰?」

声のする方を見てみると長い足を見せ体にぴったりとしたステージ衣装に着替えたユ・ヘイが腰に手を当てミナムを睨んでいた。


「誤解するなよ、泣かしたのは俺じゃないって。俺は慰めてるだけだよ、そうだろジェルミ」

いきなり名前を呼ばれ驚いたジェルミは“そうだ”と何度も頷いて見せた。

目の前で項垂れている女の子の顔を覗き込むとヘイは溜息をつきミニョの腕を掴んで人目を避けようと引っ張って行った。


「コ・ミニョだったのね。またあいつに泣かされたの?。あんたが大人しく言う事聞いているから駄目なのよ。男はあんただけじゃないって振りを一回してごらんなさい。そうしたら慌てて言う事聞くようになるから。あんたのお兄さんそうしたら今では私に頭が上がらないのよ」

横にいるミナムを見下ろしながら言うとミナムは面白くなさそうに横を向き、ジェルミは可笑しくて笑いを堪えていた。


「そんな事したら・・・きっと嫌われてしまいます」

テギョンに嫌われてしまったら・・・そんな事は出来ないと首を左右に振った。


「まぁ、あんたには無理よね。今度あいつに会ったら代わりに言ってやるわよ。いつまでも泣いていないで強くなりなさい」

ミニョの両腕を掴んで言い聞かせた。以前ミニョを苛めていたときのヘイの面影は殆ど無く今ではミナムの妹として見てくれるようになっていた。


「オンニ、ありがとうございます」

頭を下げた後ミナムを見て笑った。


「じゃあ、私はもうすぐステージが始まるからまた夜に会いましょう」

さっそうと長い黒髪をなびかせ歩いて行く後姿をジェルミは呆然と見ていた。


「一年前のヘイssiからは想像出来ないね。散々ミニョに嫌がらせしてたのに今では味方なんだ。女って分からないよ」

ジェルミは愛犬ジョリーように頭をふって両腕で自分の体を抱き締めていた。


「さぁ、戻らないとヌナが心配するから戻ろうか」

ジェルミとミナムはミニョを両側から挟んで控え室に戻ろうとしていた。


「ジェルミ?」

聞きなれた声に三人は同時に振り向くとシヌが立っていた。


「シヌヒョン、今着いたんだ。テギョンヒョンもう来ているよ、一緒に行こうよ」

ジェルミがシヌに駆け寄った。


「もしかして・・・ミニョ?」

いつもと違う髪形をしていたがミニョだとすぐに分かった。


「シヌヒョン、ミニョだってすぐに分かるんだ」

ジェルミは感心した様にシヌを眺めた。


「ジェルミが嬉しそうな顔をして一緒にいる女の子を考えたら直ぐに分かるだろ?」

ミニョと一緒で嬉しいとジェルミは隠すことなくミニョの肩に手を置くとジヌがすかさずその手を外した。

不機嫌そうな顔をしたジェルミだったが直ぐに笑顔になり四人は歩き出しジェルミとミナムが肩を組みながら歩き少し後からシヌとミニョが歩いていた。


「ミニョ何か有ったの?」

まだ赤いままの目を見て顔を覗き込むようにしてシヌが聞いた。


「何もないです。さっき風が吹いた時にゴミが入って物凄く痛かったんです」

慌てて目を擦りながらミニョは答えた。シヌはそれ以上聞く事を止め歩きながらミニョの横顔を眺めていた。




お越しいただきありがとうございます。


今一度「アメンバー申請をして下さる方へ」お願いです


申請の際、メッセージにて年齢(18歳以上の方から)と私のお話を読んでの感想をお送りいただきますようお願いします。

申請ボタンだけでは承認が出来ません。二週間を超えるとアメンバーの申請が消えてしまうようです。

申請しているのに承認されていないとお心当たりの方はメッセージにてご連絡下さい。

宜しくお願いします。


この夏休み期間中にこのテーマのお話が終われば良いなぁと思っていますが・・・・・。せめて八月中には終わっていたいと思います。

その為にせっせと頑張ります。


ではお話に。





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<夏フェス当日>


ミニョはワン・コーディと一緒にジェルミ達より早く会場の控え室に着いていた。


「ミニョ、今日は暑いし慣れない仕事で大変だと思うけど宜しくね。メンバー達は基本自分達の事は自分でやるからそんなに手は掛からないの。困ったら私でも良いし他の子に遠慮なく聞いてちょうだい。

他のメイクの子達にはミナムの妹だとは言ってないから普通に接してくると思うの。もしかしたらちょっとキツイ事を言われてしまうかもしれないけど大丈夫?」

ミナムの妹だと言っても良かったがその事で気を使われたくないとミニョがミナムにお願いしてもらった。


「言われるのは私がきっとお役に立っていない時だと思うのでそうならないように頑張ります」

ミニョはガッツポーズをして見せた。


「でも今のままだとミナムの妹って分かるわよね。メンバーは問題ないけど・・・。ちょっとだけミニョもメイクしてあげるわ。それに髪型も変えちゃおうかしら」

そう言うとワン・コーディはメイク道具を広げ直ぐにミニョとは分からないように簡単にメイクをして髪型も変えた。出来上がった顔を鏡で見ると二人は“これで大丈夫”と頷いた。

ジェルミやミナムが来る前に準備をしておかなければいけないと急いで衣装を出しハンガーに並べて掛けた。野外のステージでいつも以上に水分補給が必要になると水やお茶など種類も多くいつもの倍以上用意されているようだった。


「わぁ、お水だけでも何種類も用意してあるんだぁ。このお水のボトル見た事があります、私もお誕生日に買いに走りました」

ペットボトルを手に取りテギョンの本当の誕生日にコンビにまで走って買いに行った時の事を思い出していた。

ボトルを眺めているとワン・コーディーに声を掛けられ頬を赤くしながら準備を進めた。一通り準備が終わるとワン・コーディーは他のグループの所に来ている知り合いのスタイリストの所に挨拶に出掛けミニョは控え室でジェルミ達が来るのを待つように言われた。


「あっ、オッパにそろそろ連絡入れておかないとまた怒られてしまいます」

バックの中から携帯電話を出し電話を掛けようとして手を止め考えた。


「もしかしてまだ眠っていらっしゃるかもしれないし・・・。メールでお知らせしておけば大丈夫かも。もう会場に居るって分かればきっとオッパも安心して下さるし」

ミニョは電話ではなくメールを打ち始めた。



        *:..。o○☆゚・:,。*:..。o○☆*:..。o○☆゚・:,。*:..。o○☆


           オッパ、おはようございます。

           ゆっくりお休みになれましたか?

           迷わず会場に着いてますので

           安心してください。

           会えるのを楽しみにしています。

                                コ・ミニョ

 

        *:..。o○☆゚・:,。*:..。o○☆*:..。o○☆゚・:,。*:..。o○☆



「これで大丈夫!。あとはミナムオッパが来るのを待つだけ」

ミニョは携帯電話を自分のバックに仕舞うと控え室の端に椅子を持って来て座って待つことにした。

昨日の夜気が付けばベッドに寝ていたが、夜中に目が覚め同じホテルにテギョンがいるかと思うとドキドキして眠れず朝起きた時は寝不足だった。

誰も居ない静かな控え室にいると自然とミニョの瞼は重くなり眠ってしまいそうになっていた。体が大きく崩れ何度か気が付いて目を大きく開け意識を保とうとするが誰も来ない控え室ではミニョは睡魔に勝てなかた。



「ミナマ~、ちょっと早過ぎない?。もっと遅くても良かったんじゃない?」

ジェルミはグッズ販売に協力するけど思ったよりミナムが早く呼びに来たのでもう少し寝ていたかったと愚痴を溢していた。ホテルからタクシーに乗りイベント会場を半周するようにして関係者だけが出入する入り口近くに停めてもらい車から降りた。


「ジェルミ、愚痴を溢したいのは今だけだよ。きっともっと早く来れば良かったって絶対言うから」

歩きながらジェルミの肩に腕を廻し耳元で言うと気持ち悪そうにジェルミはミナムから離れようとしていた。

二人は入り口で首から証明書を下げにこやかに挨拶をしながら会場内に入って行った。


「会場周りにも凄い人だったね。グッズ販売は始まってるみたいだから準備しないと」

さっきまで愚痴を言っていたジェルミもたくさんの人を見てやる気が出てきたようだった。


「さぁてと、控え室に行かないとね。ヌナ待ってるかな・・・」

心なしか嬉しそうな顔をしたミナムはすれ違うタレントや関係者に頭を下げながら二人は“A.N.JELL”の控え室に着いてドアを開けた。

入り口から中の様子を見たミナムは首を傾げた。


「おかしいなぁ、もう来てるはずなのに・・・」

部屋の中を見てブツブツ言うミナムを後ろからジェルミが不思議そうな顔をして見ていた。もう一回部屋の中を見てみると部屋の端で椅子に座ったままのミニョを見つけた。


「いた、いた」

嬉しそうに椅子に座ったミニョの近くに行くとジェルミを手招きして呼んだ。呼ばれたジェルミは起こさないようにと音を立てないよう静かにミナムの横に立った。ジェルミを見て口元に人差し指を立て、椅子に座っているミニョの肩をゆっくりと揺さぶった。


「おい、起きろ。」

無理やり起こそうとしているミナムの手を可哀想だからとジェルミが押さえようとするとミナムは気にせずミニョの肩を揺さぶり続けた。暫くすると寝ていたミニョが頭をゆっくりと上げ目を少し開けたまま部屋の中を見回した。


「すみません、眠ってしまったみたいで・・・」

目の前にジェルミとミナムが立っているとは思わず寝ぼけたまま椅子から立ち上がりふらつくとミナムに腕を掴まれ椅子に戻された。


「ミニョ、いい加減に目を覚ませ」

名前を呼ばれゆっくりと目を開け目の前に立っているジェルミとミナムを見てミニョは真っ赤な顔をして俯いた。


「えぇ・・ミニョなの、本当に?。先に着いてたんだね、ちゃんと来れるのか心配だったんだよ。テギョンヒョンは教えてくれないし・・・。もうヒョンには会った?」

嬉しそうにジェルミがミニョの肩を両手で掴みながら聞いた。


「まだオッパにはお会いしていないんです」

恥ずかしそうに俯くミニョにジェルミ嬉しさを押さえ切れなかった。


「ヒョンより先にミニョに会えたんだ、嬉しい~。ミナムの誘いに乗って良かったよ。今日のパーティーにも参加してくれるんだよね。もっと早く来れば良かったぁ」

そう言いながら抱き締めるとミニョはビックリして目を丸くしていた。


「ジェルミ良かっただろ?。今この場にテギョンヒョンがいたら間違いなく怒られてるから」

ミニョから離れ大きく頷いたジェルミは嬉しそうにミニョを見ていた。

挨拶に行っていたワン・コーディが控え室に戻って来ると二人は簡単にメイクをしてもらいグッズ販売に出掛けて行った。控え室を出る時もジェルミは名残惜しそうにミニョを見て“直ぐに戻ってくるから”と言ってミナムと出て行った。


「さぁ、あと少ししたらテギョンとシヌも来るわね。12時前になるって聞いてるからそれまで休んでおいて。四人の準備が始まったら私もそっちに掛かりっきりになるしミニョも色々お願いされる事もあるから。またここでミナム達が戻って来るまでお留守番していてくれる?。今から今日一緒にやるメイクの女の子が着いたみたいだから迎えに行って来るわね」

ワン・コーディーがまた出て行くとミニョは一人になり近くにある椅子に座って大きく息を吐いた。


「もう直ぐオッパがいらっしゃる、緊張します。ちゃんとメールで着いてる事は報告したし、私が会場にいてもおかしくないですもんね。ただ、オンニのお手伝いするのは言ってないから・・・。オッパは私が内緒にする事を一番嫌がられるし・・・。ちゃんと言っておけば良かったかも・・・」

もう直ぐテギョンに会える事より内緒にしてこの場所にいる事が気になって仕方なかった。





テギョンはお昼に会場に入れば間に合うと思いその時間に合わせて起きた。目が覚めるとベッドサイドのテーブルに置いていた携帯電話を手に取り画面にメールの着信を見つけ開いてみた。


「なんだ、コ・ミニョもう着いているのか?。朝一番の飛行機に乗って来たんだな。そんなに早く俺に会いたいのか?」

体を起こし唇の片側を上げ、緩んだ頬を引き締めてミニョに電話を掛けた。

何度呼び出し音が鳴ってもミニョは出ない。再度掛け直してもミニョの声は聞こえなかった。


「会場には着いているみたいだから心配ないとして・・・。まさかファンの子達と同じようにグッズ売り場で並んでないだろうな?」

時計を見た後、頭の中で長い列の中にミニョがそわそわしながら待っている姿が思い浮かんだ。


「ミナムとジェルミが先に行ってるとはいえあいつも不安だろう。仕方ない少し早いが俺が行けば少しは安心するだろう」

テギョンはベッドから急いで出るとシャワーを浴び会場に向かう準備をしていた。部屋を出た後マー室長に電話を掛け先に会場に向かうと告げた。

ホテルの前からタクシーに乗り込んだ。ミニョが自分を待っているだろうと思うと自然と頬が緩んでしまい慌ててサングラスを掛け運転手に見られないようにと窓の外を見ていた。

テギョンが会場に着くとかなりの人で溢れていた。グッズ売り場を覗こうと思ったがこの人混みでミニョを探すのは困難だと思い一旦控え室に行く事にした。

控え室のドアを開けるとジェルミとミナムの姿は無く、椅子に座った女の子が一瞬顔を上げテギョンの方を見たが挨拶とばかりに頭を下げそのまま下を向いていた。

テギョンは怪訝な顔で女の子を見て、無言で部屋の中に入り鏡の前の椅子に腰を下ろした。





ドアが開き顔を上げた瞬間、目の前にテギョンが立っていたのを見たミニョは驚いて声を上げそうになった。なんとかテギョンにばれること無くその場を凌げたが心臓の音が目の前にいるテギョンに聞こえてしまうのではないかと思う位だった。


(どうしよう、いまのうちに私だって言った方が良いかな?)


椅子に座ったまま動かず何も言わない女の子(ミニョ)をテギョンは気になっていたがワン・コーディーの知り合いだと思い何も言わず時々鏡越しにその女の子(ミニョ)を見ていた。


(やっぱり思い切って声を掛けてみようかな・・・)

ミニョもテギョンに気付かれないよう様子を窺っていた。


テギョンはミニョが何処にいるか心配で携帯電話を出し掛け始めた。呼び出しが始まると控え室の何処からか同じタイミングで鳴り始めた。

ミニョは自分の携帯の音が鳴り始めるとビクッと体が反応し慌ててテギョンに背中を向けた。テギョンは椅子から立ち上がり、音の鳴ってる場所を探した。見覚えのあるバックを見つけ持ち上げ耳を近づけるとミニョのバックだと確認をし大きく溜息をついて元の場所に戻した。


(あいつここに来ていたんだ。荷物を置いて何処に行ったんだ?。やっぱりグッズ売り場に行ったのか?。

携帯持って行けば良いのに今頃気が付いて慌てているだろう)

ミニョらしいと苦笑いをしていた。


携帯電話の呼び出し音が切れてホッとしたミニョはテギョンの方を向くことが出来ず衣装の整理をしているような振りをしていた。


「悪いが水を一本持って来てくれないか」

テギョンの一言にホッとした女の子(ミニョ)は急いで数種類の水のボトルが置かれたテーブルからテギョンが好んで飲む水のボトルを一本手に取り小走りで近付き俯きながらテギョンに渡した。


「あぁ、ありがとう」

顔を上げないのが不思議だったが緊張しているのだろうと深くは考えなかった。水を飲もうとキャップを開けて口に水を含むといくつか種類のある中から銘柄を言わなくてもテギョンが良く飲んでいる水のボトルを持ってきたのが不思議になった。たんに偶然だろうと・・・。水の並べられたテーブルを見て首を傾げた。

ミナム達が戻って来るまで音楽を聴いて待っていようとMP3を出しイヤホンを付け目を瞑って聞き始めた。やはり黙っている女の子(ミニョ)が気になり時々気付かれないように見ていた。

ふとした時に女の子の胸元に見覚えあるペンダントを見つけた。


(同じか?。あのペンダントは確かそんなに数は無いと聞いていたが・・・。偶然にしては・・・。

まさかミニョ?。いやそうだったちゃんと自分から名乗っているはずだ。)


心の中で疑問に思いさっき携帯電話の音の鳴る所を探している時の女の子の様子が少し変だったのを思い出した。

改めてミニョのバックの所に行き手にすると鏡の前に持って来て女の子様子を窺った。テギョンが手にした時女の子が息を飲むのがハッキリと分かった。


バックを見ながらテギョンが低い声で呟いた。


「コ・ミニョ」


「は、はい」

無意識に返事をした後、手で口を塞いだミニョは今にも泣き出しそうな顔をしていた。