**
ただ 壁さえ なくなったらば
だれもが 無限に ひろいんだのに
へだたり さえ なければ
どこへも 好きに いけるのに
なにかに 名前を つけなかったら
それは みんなの ものなのに
だから 誰も 何をも
奪えないのに
かなしいことは
わたしは その 広い庭に
居たことがあるから
誰にも 何にも なまえがなくて
ぜんぶが みんなの ものだった
ひろく 美しい庭を みたことが ある者は
心に それが ある者は
その 庭を ここに つくりにきてる
良いか 悪いか ただしいか
ただ その仕事に とりかかるまでは
もの哀しいように できている
忘れものを 忘れて 立ちすくむように
空を ながめて いるけれど
帰りたい その場所は
わたしと あなたが
ここに つくる 場所
ここに その庭が できたとき
私たちは どこにも 帰らずに
すむようになる
**