当院に通われた患者さんに私は初めてお会いした時に「歯医者さんは外科系の疾患を扱っている科です」と必ず説明しています。
総合病院などに赴いた際に、「あの検査は必要無かったんじゃないか」「無駄に検査して点数を稼いでるんじゃないか」などとエレベーターの中での患者さん同士の会話を耳にする事がありますが、そうでしょうか？
私はそうは思いません。
外科系の疾患を扱う場合、問診や視診、触診などももちろん重要ですが、目に見えないところに病気が隠れてないか調べるためにレントゲン検査というものがあります。
レントゲン検査にも色々あり、全体像を把握する全体的なレントゲン検査、局所的な部位を更に詳しく調べるレントゲン検査があります。
歯医者さんでも全体像を診るパノラマレントゲン検査、局所的な部位を更に詳しく調べるレントゲン検査があります。
それらの検査結果をトータルで診て病気の有無や早期の疾患の有無、病状の進み具合を把握します。
言い返せば、それらの検査の何か省けばそれだけ病気を見逃す事にも繋がるのです。
医科の事は畑が違うので分かりませんが、歯医者さんの例を挙げれば、局所的なレントゲン検査などは数百円です。
数百円の報酬が欲しいがためにレントゲン検査をしてるお医者さん、歯医者さんは居ないと思います。
むしろそういう一部の人達の心無い発言に左右されて必要な検査をせずに病気を見逃す事から、患者さんの信頼を失う事の方が、医師としてしてはならないと私は思います。
長年歯科の仕事をしてきましたが、病気を見つける事は一般の方が思う程簡単な事ではありません。
視診だけでは分からない歯と歯の間から始まっている虫歯もあれば、レントゲンを撮っても画像からは分かり難い急性的な虫歯など、色々なケースがあるのです。
今日一日の診療だけでも1〜2ヵ月前に他院に通われていた際、軽いシミを相談されたそうですが知覚過敏と診断を受けセカンドオピニオンとして来院された方、妊産婦検診のついでに久しぶりに検査を受けに受診され本人は何も自覚症状も無く気付いていないが、かなり進行してしまっている虫歯が見つかった方が数人いらっしゃいました…💧
このくらい分かりやすい病状でも痛みも無ければ全然気付きもされてない患者さんが沢山いらっしゃるというのが現場で毎日毎日起きているのが現実です…。
穴は空いて無くても少し下の歯の中はこの状態であっても痛みが無ければ本人は危機感も感じていないという事が多々あります。
感染した歯質を除去すると神経が露髄して助からない…こういう事が現場では日々起きているのです。
このケースに関しては自分でも気付いてくれてもおかしくないくらいのイージーケースです。
では、これはどうでしょう？
既に手遅れかもしれない病態が自身の歯に存在しているのが分かりますでしょうか？
同じく、侵食されてしまっている病態を確認するとこの状態。
感染歯質を除去するとあっという間に神経が露出し、助かりませんでした…。
この方はシミは少し感じていたようですが、自発痛も無くまさか自身の歯にこれだけの病態があるとは夢にも思って無かったとおっしゃっていました。
このケースではレントゲン検査をしたおかげで見つかった時には手遅れではありましたが、痛みが出て感染が広がる前に治療を開始する事が出来たので、同じ神経の治療になりましたが、痛みが出てから治療を開始するよりも状況的には良い条件下での根管治療になったケースです。
このように一般の方からしたら無駄じゃないか？と思われるレントゲン検査から日々患者さんにプラスになる発見があるのです。
私はこれはもしかしたら軽度の虫歯かもしれない、まだ視診では治療に移行しないでも良いかもしれないと思うケースでも知り合ったばかりで長年担当しているリスクのある程度把握している患者さんでなければレントゲン検査をします。
いくら専門家でも出会ったばかりの人のリスクや傾向など把握出来るわけがない＝把握するために検査をして把握する事が大切だと思うからです。
誰もが治療痕にまみれた銀歯だらけの口の中にはなりたくないと思っているのではないでしょうか？
手遅れの状態での病気の発見でショックを受けなくないと思います。
そう思うのであれば自身のためなは予防に努めて下さい。
担当するお医者さん、歯医者さんに自身の情報を少しでも多く提供して診断しやすい環境を整えてあげて下さい。
それらは全て自分のためになります。
大丈夫（だろう）の健康管理でなく、（かもしれない）の管理をしましょう。
中原区 元住吉の歯科 パレットデンタルクリニック (palette-dental-clinic.com)