FUSION ORCHESTRAというバンドをご存じの方は・・・ウチの読者様ではもしかしたらkossoffさんとPurple_Hazeさんくらいでしょうか・・?
彼らは1973年にデビューした5人組で、女性ボーカルとツイン・ギターを擁するテクニカル度の高いロックバンドでした。
アルバム『Skeleton In Armour』がデビュー作にして唯一の作品。
「Sonata In “Z”」はそこからのナンバーで約12分近くもある大作ですが、よかったら聴いてみて下さい。
タイトルにある“ソナタ”とは3つか4つの独立した楽章からなる器楽曲の事で、この「Sonata In “Z”」はまさしくそんな構成を持つ曲。
それぞれリズムパターンやメインとなる楽器が変化するいくつかのパートに分かれており、それらが見事な計算の元に連鎖しています
まず最初の聴きどころは2:50あたりからのギター&ピアノの絡み!→ピアノのピョンピョン跳びはねるソロ!→ジル・セイワードの激しいボーカルとフルート!
ここでは随所でエレキギターのキレキレ・フレーズも聴かれ、テンションの高さは尋常じゃないです
続いて6:30あたりからのベース・ソロ!→それにねっとりと絡みつくギター!ここではピアノがオブリガード的に良いフレーズを入れてきます!
この部分の緊迫感を伴うグルーヴ感にはもう・・・固唾をのんで聴き入ってしまうほど
10:07からはオープニングのフレーズに戻って、物悲しいメロディーと共に大団円を迎えます
こういった激しいインスト・バトルこそが彼らの持ち味。
ここにはもうロックだとかジャズだとかフュージョンだとかブルースだとか、あるいはクラシックだとか、そういったジャンルの枠は必要ありません
ただただこの5人の若者による渾身の演奏と歌に身を委ねるのみ。
この曲、アルバムが発表されたのが今からちょうど40年前!
「とてもそんな古い曲だとは思えない・・・」という表現をよく見かけますが、むしろ「今の音楽よりかっこいい!」と僕なんかは思ってしまいますね。
こんなに実験的でありながら高度でエンターテインメント性に優れたロックがあふれていた、実に豊かなシーンを形成していたのが1970年前後の英国なんです。
ただ、こんな優秀なバンドがたった一枚のアルバムで消滅してしまった事もこの時代ならではかもしれません・・・。
なお、この女性ボーカルのジル・セイワードは後にあのSHAKATAKのメンバーとして活躍し、現在もしっかり歌い続けています
ボーカルもそしてフルートも、73年の頃とは違ってずいぶんソフトになりましたね(笑)
こちらのバンドのインスト・バトルもオシャレだけど熱い
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