今朝はその模様をレポートします。
徐星博士による,羽毛のあった大型ティラノサウルス類「ユティラヌス(Yutyrannus huali )」のお話もあります。
MCは,下平さやかアナ。
今回の恐竜展は,日中国交正常化40周年記念事業と位置づけられているそうです。
その関係か,今回は主催者9社,共催2団体,後援として中国大使館という陣営です。
こちらは,会場内で記者に配布された資料から,完成予定図です。
クリックすると,画像が拡大します。
見所は,ティラノサウルス類13体が集合するというところでしょうか。
そのほか,アロサウルス(Allosaurus)とステゴサウルス(Stegosaurus)の対決シーンが再現されていたり,ズケンティラヌス(Zhuchengtyrannus)とズケンゴサウルス(Zhuchengosaurus)の対決シーンがあったり,基本的に肉食恐竜に重きをおいた企画展になりそうですね。
総監修者は,長谷川善和名誉館長
今回のポイントは,ユティラヌスと切り出されました。
羽毛恐竜の発見について振り返りながら,名前の発表がこの記者発表に間に合ってよかった,と。なお,ユティラヌスに関しては,のちの質疑応答で「正直,羽毛にはとまどっている」とのお話でした(恐縮ですが,報道する側の私もまったく同じ心境です)。
もう一つのポイントは,中国山東省の諸城の恐竜化石群がやってくると。現地の標本をばらしてもってくるとのことです。
「きっと新しい恐竜観に出会えるでしょう」と長谷川名誉館長。
次に中国科学院古脊椎動物古人類研究所の徐星教授。
やはり,ユティラヌスと諸城の化石群がポイントで,日本の恐竜愛好家にぜひ楽しんでほしいとの話でした。
以下,徐星教授の発表で使われたスライドです。
諸城から。両サイドに何やら地層がありますが,長さ500メートルにわたってびっしりと化石が埋まっているとのことです。そう,こんな感じで↓
おそらく洪水か土石流によって集まったものだと。ほとんどはバラバラになっているそうですが,
このようにほぼ完全体もあります。
ここの化石は,表面に光沢があるのも多いという指摘がありました。
ズケンティラヌスとは,こんな恐竜です。
といった具合に,何種類か紹介されたのち,本日(恐竜展)のメインともいっていい,ユティラスのお話。
画像ではわかりにくいですが,2体分の標本になります。完成体で,左向きと右向きの1体ずつの標本があります。尾の先でつながっている形になります。徐星教授によれば,このうち1体は,1400kgの推定重量とのこと。
羽毛の痕跡があったことは,研究者にとっての驚きだったとのことであり,当時,この場所が寒冷地だったのではないか,と指摘がありました。つまり,保温のための羽毛であったという見方ですね。のちの質疑応答では,ディスプレイの可能性も否定できないという話もされました。
一方,こちらが成体の頭部。
ユティラヌスは白亜紀前期のティラノサウルス類ですが,この頭部を見ると白亜紀後期のティラノサウルス類とよく似ているとのこと。
この画像は,……わかりますでしょうか。右下に前足の先端が確認できます。
指が3本ある点に注目。
ちなみに,みなさんよくご存知のティラノサウルス・レックス(Tyrannosaurus rex)の指は2本です。
こうした点からユティラヌスは,非常に進化した頭と,原始的な体をもっていることがわかります,というお話でした。
そして,復元図。
発表会では,このあと恐竜ナビゲーターの富田京一氏による見所解説がありました。
「世界最大 恐竜王国2012」は,2012年7月21日から開催。
会場は幕張メッセです。
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