PDF型三葉虫図鑑,全巻そろいました! | 化石の日々

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オフィス ジオパレオント代表のサイエンスライター 土屋健の公式ブログです。
化石に関する話題,ときどき地球科学,その他雑多な話題を書いていきます。

本日,『We're Trilobites!』シリーズの最終巻,vol. Silurian を刊行しました。
これで,1月から刊行をつづけてきた電子化石図鑑は,一休みです。
このシリーズの目的は,少しでも多くの方に,古生物の魅力を味わって頂く事です。
古生物のもつシンプルな魅力,「へぇ,何? こんなのいたの!」という驚きと,その奥にある浪漫を感じて頂ければと思います。

あらためて時代順に,各巻を紹介します。

1巻表紙ピアチュラ

2012年2月15日に刊行した,カンブリア紀の三葉虫の巻です。
47種を掲載しています。
この時代の三葉虫は,扁平なものが多く,また形態も似通っているため,種の選別には苦労しました。
幸いにして,国内外の多くの友人の協力を得まして,本巻には超のつく希少種も多数収録することができました。いわゆる「カンブリア爆発」が起きていたとき,三葉虫はどんな姿をしていたのかを味わって頂けると思います。
本書はPubooで,おすすめピックアップ1位に選ばれました。



三葉虫三葉虫

2012年3月15日に刊行した,古生代第2の時代,「オルドビス紀」の巻です。
50種を掲載しました。
オルドビス紀は三葉虫の全盛期です。カンブリア紀の三葉虫と比較すると,体の構造が立体的になり,形に変化が出てきます。
また,防御姿勢(エンロール)をとる標本が多くなるのもこのころで,表紙の標本はその一つになります。
立体的な構造になったことで,撮影のアングルにもこだわれるようになりました。
この巻も,国内外の友人に標本を探してもらった巻です。
多くの友人に支えられ,このシリーズはなりたっています。



SilurianArctinurus

本日刊行した最新刊,古生代第3の時代,「シルル紀」の巻です。
24種を掲載しています。
シリーズ中,最も掲載標本の少ない巻であり,また,クォリティの低い標本も掲載されています。
このことは,本書の制作がいかに困難だったのかを表しています。
シルル紀は,三葉虫の衰退期にあたり,オルドビス紀と比較すると大幅に多様性が減少しました。
入手できる標本は数も質もかなり限定的です。
こちらも国内外の友人に声をかけ,それなりの期間をかけて標本を探しました。24種は,そうしてかき集めたコたちです。
最終巻となりましたが,ぜひ「滅びの道」を歩みはじめたことを実感していただければと思います(もっとも,その滅びの道は,1億年以上つづくのですけれど)。



Erbenochile

2012年1月15日に刊行した,古生代第4の時代,「デボン紀」の巻です。
32種を掲載しています。
この時代,シルル紀から続く衰退期にありますが,まるで徒花のように形態の多様性が華やかになります。
モロッコ産の三葉虫を中心に,一般的な人気種の多い時代で,本シリーズのフラグシップとして,先陣をきってもらいました。
そのため,本シリーズは刊行順では最初の巻が,時代順では最後の巻になるという構成をとっています。



三葉虫という生物は,理科の教科書にも登場する古生物です。
そのため,知名度は高いものの,これほどまでの多様性をもっているということは,あまり知られていないような気がします。
大学・大学院で古生物学を学び,そして,それを伝える立場として職を選んだときから,私のモットーの一つは,「恐竜だけじゃない」です。
もちろん,恐竜も大好きな私ですが,もっといろいろな古生物がいて,そこに不思議な魅力があることを多くの方々にお伝えできればと思っています。
在社時代には多少なりともそれができたと思っていますが,フリーランスの今は,もっとアグレッシブに「古生物の魅力」を発信していくつもりです。
もし,本格的に古生物に興味をもたれたら,ぜひ「古生物学」にも目を向けてみてください。

本シリーズは「恐竜だけじゃないぞ,古生物の魅力」の第一弾として制作したものです。
多くのみなさんにお楽しみいただければ,著者としてこれに勝る慶びはありません。


なお,次は「ウミサソリ」をテーマにした電子書籍を予定しています。
こちらは1巻のみで,作図したものが中心となるかと思います。
お楽しみに!


なお,当オフィス刊行の電子書籍は,
オンライン化石ショップふぉっしる
でお買い上げいただきます。
よろしくお願いしますデス。