先日，natureに「将来，北極に超大陸アメイジアが誕生する」旨の論文が掲載され，一般メディアでも大きく紹介されました。
そこで，今回は「超大陸」について，ふれてみたいと思います。
そもそも「超大陸」という言葉は，厳密な定義が存在しません。
今ある大陸の複数がくっついた場合を「超大陸」とする場合もあれば，地球上のほとんどの大陸が一か所に集まった場合を「超大陸」とする場合もあります。
前者の考えでいけば，現在にも二つの超大陸が存在します。ユーラシアとアフリカがくっついた「アフロ・ユーラシア」と，南北アメリカの「アメリカ」です。
後者ですと，「パンゲア」が有名ですね。
ここでは，後者の考えで「超大陸」という言葉を使います。
「大陸は離合集散を繰り返す」という考えは，今ではよく知られるようになりました。
その「繰り返し」には一定のサイクルがあるとみられています。
現在から時を遡れば，最も“最近”に出現した超大陸が「パンゲア」です。古生代末～中生代初頭に出現しました。およそ2億3000万年前の話になります。恐竜が出現する少し前の時代です。
このパンゲアでは，“大西洋”が閉じました。今の地図の概念から考えれば，地中海も閉じています。
その前に出現した超大陸が「ロディニア」になります。時代はずっとさかのぼって，およそ9億年ほど前になります。
ロディニアになると，その大陸の形は現在の地図の概念から簡単に推測できるものではありません。少なくとも，現在の大陸の位置を上下左右に単純に動かすだけで復元できるものではありません。
それというのも，大陸移動の原動力となるプレートは，つねに一定方向に移動しているわけではないからです。ときにプレートは大きく移動方向をかえるため，現在から離れれば離れるほど，端からみたらアクロバティックにしかみえない動きをします。
ロディニアの場合，今の北アメリカが中核となって，そのまわりを囲むようにシベリアや，オーストラリア，南極，アフリカなどが配置されていたと考えられています。ちなみにアフリカ一つとっても，いくつかに分割されるため，現在の大陸の形とは大きくことなります。
その前にあったとみられている超大陸が「ヌーナ」です。およそ19億年前のものです。ここまで遡ると，大陸の形がかなりはげしく現在とはちがいます。あえて現在の大陸の名前を使ってヌーナを表現すると，北アメリカにグリーンランドや，スカンジナビア半島周辺がくっついたような姿になります。
パンゲア，ロディニア，ヌーナの三つが，現在，よく知られている「超大陸」です。
もっとも，研究者によっては，ほかにも超大陸が存在したという見方もあります。
ちなみに，超大陸は地球環境とも大きく関連しています。
ヌーナについては情報があまりないので，よくわからないのですが，ロディニアは地球が完全に凍り付いた「全球凍結（スノーボール・アース）」との関わりが指摘されていますし，パンゲアは海洋から酸素が消えたとされる「生命史上最大の絶滅事件」の勃発と時期をほぼ同じくします。
地球のプレートが動き続けている以上，将来再び超大陸が誕生する，というのは想像に固くないところです。
しかしプレートの移動に関して将来予測が完璧にできるわけではなく，これまでは多く二つの「未来の超大陸」が考えられてきました。
一つは，現在のまま「大西洋が開きつづける」ケースを想定しており，太平洋が消滅するとみなします。この場合，東アジアにアメリカが衝突し，他にもオーストラリアもやってくるという形になります。この超大陸は「アメイジア」とよばれます。
もう一つは，パンゲアと同じように「大西洋が閉じる」ケースを想定した「パンゲア・ウルティマ」という超大陸です。このケースでは，北アメリカは北上してきたアフリカ大陸と衝突する形になります。ユーラシアと北アメリカの間にアフリカが入り込む形です。
今回提唱された新たなモデルは，アジアとアメリカが衝突するモデルなので，やはり超大陸の名は「アメイジア」とよばれています。このモデルでは，北極海が消滅することになり，シベリアに北アメリカ（カナダ）が衝突し，北アメリカの東側に南アメリカがずれこむ形になります。
今回のモデルは，過去の超大陸間の角度のちがいにもとづくものとか。
該当号のnatureがまだ手元になく，そして単体でこの論文を購入しようとするとエラく高くなってしまうので，詳細は理解していないのですが，ヌーナとロディニア，ロディニアとパンゲアの位置がそれぞれ90度はなれていたとみられることから，パンゲアから90度はなれた位置である北極に，次回の超大陸が完成すると予測したようです。
いずれにしろ，おそらく人類が生きていないだろう遠い先のお話ですが，こういった“パズル”は楽しいものです(^^
ウェゲナーさん。私たちはここまで議論ができるようになりましたよ(￣▽+￣*)
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