やがて勝手に
「あ…(本多)奈穂美…たす…な…」
途切れ途切れに声が聞こえる。その声は栗原凛の声だと奈穂美は気づいた。ただ声がするのは、壊れた前のスマホ。バッテリーも外してあり、動くはずがないのに声がする。ノイズが酷く何を言っているかわからない
ノイズはだんだん酷く大きくなっていく
奈穂美「ひっ…」
奈穂美は小さな悲鳴をあげ後ずさる。ノイズはだんだん形を成していく。奈穂美はこの後のことは以前の記憶からわかっている。すぐにでも逃げ出したいが身体に力が入らず、少しずつ後ずさるのがやっとだった
ドサッ
ヘッドから落ちる。痛みはあるが痛がるより今は少しでも早く逃げることが何よりも優先される。床を這ってドアのところまで来るが、ドアが開かない
奈穂美「何でよ、何で開かないの」
力一杯ドアを叩くが、音が鳴らない。それでもドアを叩き
奈穂美「助けてぇーっ」
奈穂美の叫びは部屋の中に反響する
「ぐがががぁーっ」
ノイズは得体の知れないモノの叫びへと変わっていく。奈穂美は耳をおさえるがその声から逃れることが出来ない。逃げることも出来ず遂に諦めかけたその時、もう1つのスマホに着信が入る
つづく