田辺恵は壁を背に座り込む。立ち上がろうとするが、力が入らず立ち上がることが出来なかった。そんな恵を心配して金島耶夜が恵の顔を覗きこんで
耶夜「大丈夫?」
と言った。それに対し「大丈夫だから」と言おうとした時、腹部に猛烈な痛みを感じた
恵「い、痛い」
痛みはどんどん増していき、顔から汗が滲み出てくる。恵の状況を見た耶夜はすぐに救急車を呼んだ
耶夜「もうすぐ救急車が来るからね」
と言ったあとすぐに救急車のサイレンが近づいて来るのがわかった。救急車のサイレンの音が変わる。その直後、恵は意識を失った
目を覚ます。恵はここが病院であることを認識した。目は端には点滴が見える。痛み止めなのか、あの時の痛みは感じない
「田辺さん、目を覚ましました?」
恵「はい」
小さく返事する
「あとで先生が来ますからね」
恵は小さく頷いた
「おかげんいかがですか?」
恵「少し楽になりました」
「そうですか、それは良かった。田辺さんちょっと身体が弱ってるからちょっと入院しましょうね」
恵は小さく頷く
「それじゃよーく休んでください」
恵はその言葉を聞いて、眠りについた
入院3日目。恵の体調はだいぶ回復した
「おはようございます」
といつもとは違う先生がやって来た
「今日は田辺さんの症状の説明に来ました」
恵は嫌な予感がした
「実はね田辺さん、流産した…」
『流産』という言葉が頭の中をぐるぐるまわり、その後の説明はまったく耳に入らなくなっていた。恵は幸せの絶頂から奈落の底に突き落とされた
つづく