野中舞海は佐藤成美に頼まれて時々お弁当を作って行くことになったのだが、舞海は成美のだけでなくもう一つお弁当を作って行った。もちろん成美には内緒だ
舞海「それじゃここに置いてくよ」
教室に入ってすぐのテーブルの上にお弁当を置く
成美「おぉ、サンキュー」
教室の奥から声がする。舞海はそっと教室を出る
舞海「いったい何してんだか…」
舞海はため息を吐く
舞海「気にしてもしょうがないしね」
舞海はあの教室の奥に一度入ったことがある。教室の真ん中に棚を置いて奥が見えないようにしてあり、その棚の向こう側には成美の私物で溢れかえっていた。窓際にはベッドがあり、その上に何故か寝袋が置いてある。さらに棚側にはドーム型のテントまであった
友達の間では成美はあの教室に住んでいるんじゃないかと噂になっていた。あの様子を見て舞海は成美があの教室に住んでいることは事実だと思っている
教室を出た舞海は中庭にある木のところにやって来る。この木をぐるっと囲むようにベンチがある。その木陰になっているベンチに腰を掛ける。時折吹き抜ける風が気持ちいいが、まだ残暑が厳しい今は誰も居ない
「おーい」
声がする。舞海はその声を聞き、笑顔で立ち上がった
つづく