堺龍臣と堺麻季は旅行を諦め帰宅。マンションを見て言葉を失った。建物が傾いていて自分たちの部屋があった階が押し潰されなくなっていた。マンションの前に車を止め、マンションを見上げていると
渡辺通泰「あのう、ここにお住まいの誰かお探しですか?」
車の中から通泰に話しかけられる
龍臣「あ、ここに住んでまして」
麻季は2人が話している間もマンションを見上げていた
通泰「何階ですか?」
龍臣「潰れて…」
通泰「もしかして堺さんですか?」
龍臣「はい」
通泰「良かった~」
通泰は表情が明るくなるが、龍臣は眉をひそめた。住むところがなくなって良かったじゃねぇよと心の中で怒鳴っていた
通泰「堺さんの安否がわからなくて…。ところでどこに居たんですか?」
龍臣「ちょっと旅行に」
通泰「そうですか」
通泰は車を降りて来て、手書きのチラシを持ってくる
通泰「この先の公会堂が避難所になってます。今日から自衛隊による炊き出しもありますし、お風呂もあります」
麻季「お風呂?」
麻季が振り返る
麻季「お風呂あるんですか?」
麻季と龍臣は旅行を始めてからお風呂に入っていなかった
通泰「自衛隊が設営してくれまして。男女時間差で使用になります。ちょっと待ってくださいね」
通泰は車に戻り資料を持ってくる
通泰「女性が午後3時から5時ですね。男性が5時半から7時半までです」
麻季「ありがとうございます」
と言って麻季は車に乗り込む
麻季「なにしてんの?早く行くよ」
龍臣は通泰に無言で頭を下げると運転席に
通泰「瓦礫が至るところにありますから気をつけて」
通泰は2人が乗る車を笑顔で見送った
つづく