ふたり~設楽楓(したらかえで)の章~1話目 | あ~やんのどりーむぱーてぃー

あ~やんのどりーむぱーてぃー

わたしの見た夢を皆さんに紹介しています。どうぞ暇潰しに見てやってください(笑)

私は今、オリンピック選手選考マラソン大会のスタートラインに立っている。私は1人で立っているのではない。2人…いや、みんなの気持ちを背負っている

ここまで来るのは長い道のりだった・・・



私は小さい頃から身体が弱く、病院ですごすことが多かった

楓「つまんなーい」

今日は病院のクリスマス会。ツリーを飾り歌を歌ってお菓子をもらって食べる。この会も3回目になる

楓「ケーキが食べたい」

楓はいろいろ食事制限があるのでケーキはもちろんクリスマス会で配られるお菓子すら食べることすらできなかった。他の子供たちがお菓子を美味しそうに食べるのを見るのは苦痛でしかなかった

ママ「退院したら食べましょうね」

楓「退院っていつ?」

ママ「…」

楓はこうして両親を困らせることが多かった。楓にしてみれば、普通にすごしてみたいだけなのだがそれはかなわなかった。楓は知らなかったが、楓は中学生にすらなれないと先生から言われていた

楓の病気は心臓病

楓の胸には大きな傷がある。幾度の手術でかろうじてつないできた命、もはや楓の命をつなぐには心臓の移植しかなかった

クリスマス会が終わって病室に戻ると幼なじみの高田竜次(たかたりゅうじ)が来ていた

竜次「よう、元気か?」

楓「元気だったら入院なんてしてないっつうの」

竜次「まあ、そうだよな」

楓「ようは?」

竜次は週に2、3度楓の病室に来ている。名目は学校で配られるプリントを持ってくることだが、竜次は秘かに楓のことを想っていた

竜次「これ」

素っ気なくプリントを差し出す

楓「そこに置いといて」

楓はテーブルに置くように言って、ベッドに横になる。クリスマス会のあとの憂鬱な時に、学校のことなど考えたくなかった。元気ならいいが、学校に行ってもなんにもできない楓にとって、学校もまた苦痛でしかない

楓「なにしてんの?」

プリントを置いてそこに立っている竜次にイラッとした

竜次「うん、なんかあるかなって…」

楓「あるわけないでしょ。私はただ寝てるだけなんだから」

竜次「うん」

竜次の顔が曇る

竜次「それじゃまたな」

楓「はいはい。バイバイ」

竜次は病室を出てため息をつく。しばらく病室を眺めていたが、あきらめて帰ることにした

その夜楓は夢を見る

サンタクロース「楓ちゃんは何が欲しい?」

楓は思いつく限りのものを言う。そして最後に

楓「元気になりたい」

サンタクロースは少し考えて

サンタクロース「元気になりたいかい?」

楓は頷いて

楓「うん」

サンタクロース「わかった」

サンタクロースは白い大きな袋を置くと中から女の子を出した

楓は最初、自分かと思った。その女の子はそれほどそっくりだった

サンタクロース「君に元気な身体をあげよう。でもね、君が元気になることは誰かが不幸になる。それを忘れないように」

楓「はーい」

楓は元気になれればなんでもいいやと思い適度に返事を返した

楓は起きて、その夢のことは忘れてしまった。そしてクリスマスイブの朝、楓の運命が変わる


ふたり~設楽楓の章~1話目終わり