忠はもう戻らない。わたしは大きな喪失感に襲われた。忠が息を引き取ったときは、まるで夢の中の出来事に感じていた。そして、忠が帰ってくると聞いてわたしは嬉しかったし忠のために頑張ろうと思った。でも・・・
エレナより偉い神様の一言、それは絶望だった
わたしはもはや泣くことしかできなかった
エレナ「ただいま戻りました」
「なぜ、2匹持っている?」
エレナ「えっと…どっちかわからなくなって」
「お前はそれだから半人前なのだ」
エレナは両手に猫を持ってしゅんっとしている
「それに両方とも違う」
エレナ「えーーっ」
「ほれ、これだ」
猫が空から降りてくる。エレナが持っていたのは三毛猫で空から降りてきたのはキジトラだった
エレナの顔が曇る
「とりあえず、封を解く」
と言った直後
忠「彩」
スマホから声が聞こえる。わたしはスマホを出し画面を見るとそこには忠が写っている
忠「やっと顔を見て話せるな」
わたしは忠を見て涙が溢れる
忠「なに泣いてんだよ。こうやって顔を見て話せるんだぞ、笑えよ」
わたし「うん」
と返事をしたものの、忠が戻らない事実は変わらない
「エレナよ」
エレナ「はい」
エレナは声が裏返る
「お主、新たな肉体を授けると言ったそうだな」
エレナ「はい」
「どうやって新たな肉体を探す」
エレナ「適当な妊婦を見つけてその胎児に」
「それでは久能忠が戻ることはあるまい。それでは久能忠の魂は胎児の中で浄化される。産まれてくる子は久能忠にはならない」
エレナ「えっと…」
「しかし、そなたは久能忠を戻すと約束したんだな」
エレナ「はい」
「なら、その身を持って約束を果たせよ」
エレナ「はい」
「2人ともすまなかったな。我からも約束させてもらおう、必ずや久能忠を高槻彩のもとに戻す」
わたし「ほんとですか?」
「約束しよう。ただ」
わたし「ただ?」
「しばし時間がぴったりなのだ。それまで待って欲しい」
わたし「はい、待ちます」
わたしの前のモヤモヤしたものがパッと晴れた
わたしの中に8終わり