エレナ「ほら、あれだ。神様も忙しいし、こんなことに手をわずらわすのもさ」
明らかにおかしい
わたし「退いてください」
わたしは立ちはだかるエレナの横を行こうとした
エレナ「ごめんなさい」
エレナが土下座をする
わたし「えっ?」
エレナ「私が悪かった。その男の身体もすぐ探す。だから、ここに行くのは勘弁してください」
わたしはエレナの変わり様に驚いた。忠もそう感じてるみたいで話かけてこない
わたし「わかりました」
エレナ「ほんとに?」
わたし「エレナさんがそこまで言うなら、忠の身体見つけてくれるんですよね?」
エレナ「任して、なんならほら」
エレナが指さす先に猫がいた
わたし「ちょっと待ってください」
エレナが大声で笑う
わたし「まさか…」
わたしはスマホに話しかける
わたし「忠?ただしぃー」
忠の声が聞こえない
エレナ「約束は果たしたからね」
わたし「ちょっと待ってください」
エレナ「待てと言われて待つやつはいないんだよ」
エレナが上空高く上がっていく。わたしは忠の魂が入ったであろう猫を探すがどこにも見あたらない。わたしはどうしていいかわからずその場に座り込んでしまった
「すまないね」
声が聞こえてきた。いや、正しくは頭の中に響いている感じだった
「うちのモノが粗相をしたようで」
エレナがわたしの目の前に落ちてきた
エレナ「いてー」
エレナは立ち上がりお尻をおさえる
「お前はまた…」
エレナ「ご、ごめんなさーい」
「よいか?先ほど人の魂を封した猫を連れて参れ」
エレナ「はい」
エレナは神社わきの林に入っていった
「ほんとに申し訳ない。我はこの一帯を治めているもの。そして、この社(やしろ)に住まうもの」
わたし「神様ですか?」
「人は我らのことをそう呼ぶようだ」
わたし「だったら、忠を…久能忠を元に…」
「それはできん」
わたし「なんでですか?間違って死んだんですよ」
「その者は死んだ。我らをもってしてもそれはできんのだ」
わたし「そんな」
「死んだ者も行きかえらすは禁忌。あってはならん」
わたし「でも」
「せめてもの償いをさせてもらう。そこの者の魂をこの世に留まれる様にいたそう」
わたし「でも、それじゃ」
「すまぬ、我らにできることはそこまでなのだ」
忠が生き返ることはない。わかってはいた。でも・・・
わたしは声を出して泣いた
わたしの中に7
終わり