『われらはレギオン4 驚異のシリンダー世界(上)』 | 愚者の惰眠

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ベンダー捜索の冒険譚

 

著:デニス・E・テイラー

ジャンル:SF

原題:HEAVENS RIVER

 ■□■

 ・『われらはレギオン1 AI探査機集合体

 ・『われらはレギオン2 アザーズとの遭遇

 ・『われらはレギオン3 太陽系最終大戦

 おさらいは自分の記事にリンクを貼ってみた。

 

 「3」までは、死んでしまった若きプログラマが生き返ったと

思ったら、フォン・ノイマン型のAIの人格マトリックスに移植され

深宇宙探査機として宇宙に出る事に…と言う冒頭から。

宇宙探査の間に自己増殖しながら仲間や中継地を増やし、

知的生命体との出会いや、敵性生命体アザーズとの出会い、

アザーズの地球侵攻を防衛する話までの三部作。

 

 大戦終了後、ボブの初期クローンの一人、ベンダーは

新たな聖域…エリダヌス座デルタ星系に一人で探査の旅に出発

したものの、途中で音信不通、消息不明の状態に。

そして新シリーズはベンダー捜索から話は始まる。

 

 彼らは長距離を旅しては途中に中継ステーションを建造して

仲間と連絡を絶やさないように「ボブの宇宙」(ボビバース)を

構築していく。 超光速推進こそできないものの、量子もつれを

応用した超光速通信、超光速スキャンの技術はアザーズとの戦い

で得られた技術。

 それらを駆使して、半径100光年の宇宙にリアルタイムの

ネットワークやVR空間を自由に出入りしていた。

遠隔操作でログインし操作できるアンドロイドや知的生命体に

似せた機械システム、マニーも。

 

 消息不明のベンダーを探すボブ…どうやらベンダーのヘヴン船

は破壊されたらしい痕跡を発見。

どうやら新たな敵対勢力の可能性を意識しつつ、じわじわと

捜索範囲を絞っていくと、ある恒星系に超巨大なシリンダー世界

を発見、しかもそれはダイソン環天体ではなく恒星を三重に囲む

超巨大「トポポリス」だった。

直径90km、長さ16億kmのそのシリンダー内には川が流れ

ビーバー=カワウソ=カモノハシのような知的生命体が暮らして

いた。

 

 なにせ、機械マトリックスに収められたボブたちには、時間だけ

は永遠にあると言っても過言ではない。

じっくり時間をかけて驚異のシリンダー世界をまずは外から探査。

文化、言語、地形、社会構造… 多岐にわたるスキャンを実行。

そして、「ヘヴンズリバー」と名付けられたシリンダー世界に潜入。

クインラン人と言う知的生命体そっくりなアンドロイド・マニーを作り

なにはともあれ、消えたベンダーの情報収集に着手する事に。

 

 これ… ガンダムに登場するコロニーのでかいバージョンを長く

引き延ばし、16億kmの長さのシリンダーの両端を引っ付けたような

ものを想像すればいいかと。

それが、恒星のエネルギーを利用するのに、恒星のすぐそばにあると

思えばわかりやすい。

水陸両棲生物であるクインラン人は、食べ物の心配も無くまさに天国

のような環境で暮らしている。

ただし、それほどの機構を構築した彼らの暮らしは、蒸気機関さえない

地球で言えば産業革命以前の暮らしっぷり。

そして、探索していくうちに数々の謎が…。

 

 時同じくして、ボブたちの世界にも異変が。

クローンを15世代以上繰り返すと、「浮動」と呼ばれる相違点が発生する

事がかねてから問題を生んでいた。

ボブであってボブでない… 考えが違い同じ方向を向かないボブが

徐々に台頭しだすことに。

彼らは自分たちを「宇宙艦隊」と名乗り、新スタートレックを意識した

コスチュームで、人類や知的生命体への干渉を停止する行動を開始。

中継ステーションを次々とハッキングしては機能停止に追い込んでいく。

 

 …このシリーズ、SF映画やSFをたくさんご存じの方には笑いが

とまらないと思う。 あちこちのSF映画、SF小説の小ネタが満載で

「ベテルギウスとビートルジュース」のネタも出てくる。

ガーディアンズ・オブ・ギャラクシーの「僕はグルート」やら

マーベルネタは勿論、DCコミックネタなどオンパレードになっている。

主役のボブ(オリジナル)が相当なSFヲタクだったという設定なので

みんながそんな感じで会話する。

ダンジョン&ドラゴンやらスタートレックやら、ご存じの方には楽しめる。

 

 さて、ベンダーは無事か。

 救出できるのか!?

 波乱を含んで下巻に続く。

 今回は殆どが、シリンダー世界内での冒険譚になっている。

 面白い、ぱい印おすすめ。