
著者アルフレッド・ベスターと言えば『虎よ!虎よ!』
で記念すべき”第一回”ヒューゴー賞を受賞している
作家だ、本作もヒューゴー賞に輝いている。
アメリカでは”ヒューゴー賞”といえばSFでは最高
の名誉なのは言うまでもない。 賞を取ったから名作
だと言うつもりは毛頭ないが、本作『分解された男』
は古典SFの中でもきわめて良く出来ている。
さて、どんなお話かと言うと・・・。 舞台は近未来
のアメリカ、どういうわけか人類のごく少数ではあるが、
人様の心を読み取ってしまうテレパシー能力を持つ人間
が増加し始めた頃。 テレパシー能力者はスカウトされ、
警察組織に入り犯罪者はその精神を感知されて「基本的
に犯罪が起こりえない世界」になっている。
主人公は能力者の中でも特A級のリンカン・パウエル。
これまた、悪の帝王というか、実業家なのだがライバル
を蹴倒すために殺人を行うベン・ライクがもう一人の
主人公と言ってもいい。
のアメリカ、どういうわけか人類のごく少数ではあるが、
人様の心を読み取ってしまうテレパシー能力を持つ人間
が増加し始めた頃。 テレパシー能力者はスカウトされ、
警察組織に入り犯罪者はその精神を感知されて「基本的
に犯罪が起こりえない世界」になっている。
主人公は能力者の中でも特A級のリンカン・パウエル。
これまた、悪の帝王というか、実業家なのだがライバル
を蹴倒すために殺人を行うベン・ライクがもう一人の
主人公と言ってもいい。
自分の心がみえみえになってしまう世界で、
どうやって殺人事件を隠し通すか、
犯罪者側の視点と、エスパー捜査官側の視点で
犯罪者側の視点と、エスパー捜査官側の視点で
描かれていくミステリー仕立てになっている。
エスパージャンルの古典SFなので、ちょっと甘いか・・と
思える部分もあるが、当時としては秀作中の秀作。
思える部分もあるが、当時としては秀作中の秀作。
今でも十分に面白い。
ばれてしまえば分解刑が待っている、ライクはどうやって
ばれてしまえば分解刑が待っている、ライクはどうやって
捜査の目を逃れるのか?
なんとしても尻尾をつかみたいパウエル、しかし・・・
なんとしても尻尾をつかみたいパウエル、しかし・・・
敵もあれやこれやの仕掛けを施している。
どうやって犯罪を立証すればいいのか!?
エスパー同士の対決や、主役同士の虚虚実実の対決、
エスパー同士の対決や、主役同士の虚虚実実の対決、
ライクはさすがに悪玉だけあって巧妙な撹乱を次々と
打ち出していく、このままでは立証不可能!
本作、作中にテレパスを撹乱するために自分の頭の
中に「二度と消えない歌を作ってくれ」とライクが
作曲家に申し出るシーンがあるが、それを読んだ私で
すら30年以上たつのに未だに歌詞を全てかける・・・
すら30年以上たつのに未だに歌詞を全てかける・・・
いやはや、強烈なわけのわからない歌だ。
「もっと引っ張れ、いわくテンソル・・・」って、
「もっと引っ張れ、いわくテンソル・・・」って、
なんなんじゃぁ、この歌詞わぁぁぁ~~!!・・・
という感じの歌である。 全部書けるが省略する。
・・・というぐらいに強烈なインパクトで物語りは展開していく。
もうひとつ、特筆すべきは「タイポグラフィック」
・・・というぐらいに強烈なインパクトで物語りは展開していく。
もうひとつ、特筆すべきは「タイポグラフィック」
だろうか。
テレパスの心のやり取りを文字図形で表した描写が
画期的だ。
よくまぁ、この時代にこんなの考え付いたし、よくまぁ
日本語翻訳でここまでやったなぁと感心する。
今でこそ、絵文字、顔文字などですっかりお馴染みに
今でこそ、絵文字、顔文字などですっかりお馴染みに
なってしまったが当時、こういった表現を作品上で行
える作家は少なかった。
さまざまなSF的、視覚的アイディア満載のこの一冊。
不朽の名作と言っていい。
当時のSFとしてはかなり分厚い文庫本になるがタイトル
当時のSFとしてはかなり分厚い文庫本になるがタイトル
の『分解された』・・・というのもちゃんとオチがある。
面白く読めるのでSFファンならずともお勧めだ。
古典なのでかなり突っ込みどころもあるが、そこはそれ、
古典なのでかなり突っ込みどころもあるが、そこはそれ、
楽しんで読んで欲しい。
さぁ、「顔のない男」とは・・・? わくわくすること間違いなしだ。
※本文はOCN自己ブログからの加筆転載です。
※注:「ヒューゴー賞」
ヒューゴー・ガーンズバックにちなんで作られた賞。
年間SF最優秀作品に贈られる。
ヒューゴー・ガーンズバックにちなんで作られた賞。
年間SF最優秀作品に贈られる。