近頃読んだ本 ぶっ飛び母さん | パゲわかめ先生のブログ

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記事内容は詩・随筆他実話創作織り交ぜて多種多様

じゃなくて

 

ヴィオラ母さん

 

 

 

昭和35年 27歳の時

札幌交響楽団設立の話題に触れたリョウコ

 

東京生まれ 東京育ち

女学校の頃からビオラに親しみ

シャンソン歌手の後ろで演奏するバイトなどしていた

 

祖父は仕事をしているところを見たことがないのに

相当なお金持だったよう

 

父親は銀行員でニューヨーク暮らしなどしていた

 

厳格な家庭で育ったから

名門カトリック系女学校に通っていて

幼い頃から神学・音楽に馴染んでいた

 

 

 

当時交響楽団は東京にもあった

それ以外 地方の市民交響楽団は

群馬と京都と

札幌は3つ目となる

 

 

 

知らない土地で

新しいオーケストラ誕生に立ち会ってみたい

 

 

 

その思いを止められなくなって

勤めていた会計事務所を辞め

 

いざ札幌へ

 

 

 

 

だが良家のお嬢様育ちだったから

当然 親族は皆 猛反対

 

それを強引に押し切って

半ば勘当状態で

ビオラを手にして

上野駅から寝台列車で未知の土地へと向かう

 

 

 

ビオラ演奏の腕は確かだったから

直ぐに創立メンバーに迎えられる

当時だから

勿論女性はリョウコ一人だけ

 

勘当状態で出て来ているから

当然お金はなく

札幌ではおんぼろ下宿住まい

隣にカトリック教会と病院があったから

リョウコには居心地が良かったようだ

 

その楽団で出会った指揮者

北大スキージャンプ部にも所属していた青年

その青年と恋に落ちて

 

 

 

これは大いに笑えた本だった

作者は漫画家で

テルマエロマエを書いた

 

ヤマザキマリさん

 

ヴィオラ母さん とは

彼女の母親のこと

だから この本はその母親の物語

 

 

 

 

 

この母親

とんでもなくぶっ飛んだスーパーウーマン

札幌交響楽団の設立メンバー

 

 

 

生まれは東京

生家は本の内容から推測すると

明治期の華族?

江戸時代はどこかの藩の偉いさん?

超裕福な家のお嬢さん

カトリック系のお嬢様学校に通っていた

 

そんな娘が

札幌交響楽団設立の話を聞きつけて

親族たちの猛反対を押し切って

ビオラを持って北海道に渡る

 

それで直ぐにメンバーに迎え入れられたということは

その才能は相当なものだったのだろう

 

 

 

結婚して間もない頃にマリが生まれる

だが相手の青年は深刻な病気になり

マリが幼い頃に他界

 

マリが1歳になる頃

札幌市内の保育園へ

 

カトリックの神父さんとか

子供の相手をしてくれる存在にも恵まれたようだが

ほとんど子連れで各地の演奏旅行に飛び回る

北海道 国内だけでなく 時には外国まで

 

 

そんな中で

大手建築会社に勤める男性と再婚

彼はサウジアラビア勤務となり

ほとんど別居状態になってしまうが

マリと2歳違いの娘を授かる

 

 

 

やがてマリが小学校入学前

彼の母親が同居して娘達の面倒を見てくれるようになり

千歳市の市営住宅に引っ越す

通勤は焦げ茶の中古クラウン

 

ホタテの炊き込みご飯の話が出てきて

それがやけに美味しそう

 

ぼくはまだそれを食べたことがない

 

 

 

なのだが

幸せな時期は長く続かず

駐在先の外国で彼は亡くなり

その母ハルさんも

息子がもう帰って来ないのに

いつまでも一緒には暮らせない

と去ってしまう

 

 

 

そこからの

この人のぶっ飛びぶりが凄まじい

 

ぼくは大いに笑い転げてしまった

 

 

 

 

この写真はこの本に掲載されていた

マリさんが描いた漫画

 

給食がない日は弁当

ハルさんが同居していた時は

ハルさん作のまともな弁当だった

 

なのに

 

リョウコが作ったものは

食パンにマーガリンと砂糖が塗ってある だけ

 

それで文句を言ったら

別の機会には

 

茹でた とうきび 2本のみ

 

 

 

この人には 常識 が存在しないのだ

 

夏休みには

娘達と共に虫採りに出かけて

採ってきた虫を部屋の中に放して楽しむ

 

千歳川に親子で入って

ヤツメウナギを捕まえる

更に

リョウコは喜んで泳いで流されかけたりもする

 

 

 

楽団が札幌を離れて演奏旅行に出かける時は

ハルさんが居ない家に娘達だけ残して行けない

なので学校の先生に掛け合って

校長先生を口説き落として一緒に連れて行く

 

 

 

演奏会場では母親の目が届く所

 

客席中央最前列

 

ビオラを持った母親の目の前の席

 

 

しかし 幼い子供二人

どれほど有名な曲であっても

クラシック音楽には飽きてくる

そうして落ち着きなく体を動かしたりすれば

母親の怖い目がこちらを凝視している

 

それに気付いて目をそちらに向ければ

リョウコは少しも指揮棒を見ていない

マリさんはそれはまずいと考えて

妹と二人じっと我慢

 

 

 

 

母親のリョウコさんは

楽団での演奏以外に

バイオリン講師として北海道中飛び回っていたが

その時も移動は全て中古の焦げ茶のクラウン

 

ただ 学校のある時は

母親が帰ってくるまで

娘二人は学校から帰って家でお留守番

 

リョウコさんは娘にもバイオリンを習わせようとしたが

マリさんは興味なし

留守の間はアニメ・漫画に馴染み

空想力旺盛となって

クレヨンと紙が友達になる

 

 

 

そして

14歳の時に

マリさんは母親リョウコの代わりに

単身ヨーロッパへ送り出される

 

マリさんの漫画家への道は

その時の約1月のフィレンツェ滞在に端を発する

 

 

 

あと もう一つ

リョウコは千歳市に家を建てたのだが

それがヨーロッパへの強いこだわりから

チロル風 注文住宅

自分で大工を探して建てたのは良いのだが

吹き抜けが高すぎて冬はやたらと寒い

 

それでもリョウコは気に入って

長く住んだようだが

 

 

 

てな感じで

 

まさに

 

 

ぶっ飛び母さん

 

 

いや~

 

 

すごい女性がいたものだ

 

 

感心感心

 

 

 

 

そして

 

時々 大笑い間違いなし

 

のお話でした