平和憲法のもと、とにもかくにも平和で繁栄する社会を作り上げたと
される日本。しかしそれは他国の戦争で潤つた結果だといふ。
斎藤貴男は、朝鮮戦争、ベトナム戦争といつた米国の戦争で儲ける
日本社会の構造を明らかにしてゆく。
朝鮮戦争の「特需」がドッジラインによる不況を克服させたこと、ソニーの製品がベトナム戦争で使はれたことなどは知つてたつもりだけど、三菱重工の爆破事件やカーチス・ルメイの叙勲までがこの構造から
くるものとは正直知らなかつた。そして、我が国が枯葉剤の製造や
貯蔵にも関はつてゐたことも。
自由、平和、繁栄…振返つて「いい時代」のやうにも見えるが、現在に至るまで米国の世界戦略を陰から支へてきた構造、振り返つてみる必要がありさうだ。