えさをさがしていた、身ごもっためすライオンについての話があります。
ヒツジのむれを見て、彼女はそれにとびかかりましたが、そこで死んでしまい、母親のいない子ライオンが生まれました。
それはヒツジにやしなわれて彼らとともに大きくなり、草を食べてメエメエとないていました。
そして、やがて一頭の十分に成長したライオンになったのですが、自分はヒツジだ、と思っていました。
ある日、もう一頭のライオンがえさを探しにきて、このヒツジのむれの中に一頭のライオンがおり、ヒツジと一緒に逃げていくのを見てびっくりしました。
彼はこのヒツジライオンに近づいておまえはライオンであるぞと言ってやりたいと思いましたが、哀れな獣は、彼が近づくと逃げて行ってしまいました。
それでも彼は機会を狙い、ある日、ヒツジライオンが眠っているのを見つけました。彼はそれに近づき、「おまえはライオンだぞ」と言いました。
相手が、「私はヒツジです」と言ってメエメエなくので、彼を湖のほとりまでひきずって行き、「ここをごらん、おまえと私の影だ」と言いました。
彼はライオンと自分の影とを見くらべ、一瞬のうちに、自分はライオンである、という事を悟りました。ライオンはほえました。もう、メエメエとはなきませんでした。
みなさんはライオンなのです。清らかで、無限で、完全な魂なのです。
宇宙の力はみなさんのうちにあります。
「なぜなくのか、わが友よ。あなたは誕生もなければ死もない。なぜあたなはなくのか、あなたは病もなければ不幸もない。ただ、あなたは無限の空である。さまざまの色の雲がその上にきてしばらく遊び、それから消える。しかし空はいつも同じ永遠の青である」なぜわれわれは悪を見るのか。
ギャーナ・ヨーガ/知識のヨーガ スワミ・ヴィヴェーカーナンダ 人間の本性 ロンドンで より