別れ話(3)
衝撃の告白は、9月8日の午前4時でした。
私は悔しくて、あまりにも自分が惨めで、涙が止まりませんでした。
宏樹は取り返しのつかない事を言ってしまったと、私の横で、ママに電話をしていました。 会話の内容はあまり覚えていませんが、宏樹は電話を切った後タクシーを呼び、着の身着のままで私に何も告げず、慌てて家を飛び出して行きました。
宏樹が何処へ行ったのかは分かりません。
浅井さんの元なのか、ママの元なのか・・・。
あまりのショックで私はしばらく放心状態でした。
しかし、私には一筋の光があったのです。
同じ職場の宮本さん。
彼は私の同期であり、何でも話せる仲で、当然ママの事なども度々相談していました。 私は彼に対して恋愛感情はまったく無いけれど、今朝はやけに声が聴きたくなって、非常識と分かっていたけれど、明け方にメールをしたのです。
「宏樹に別れ話をしたら、宏樹は他に好きな人がいたって。
どうしていいか分からないよ。
話を聞いて欲しい・・・。」
こんなメールを送ったら、すぐに電話がかかってきました。
「どうした? 大丈夫か?!」
「ありがとう・・・。 ありがとう・・・。」
「おい、今どこだ?」
「今・・・家・・・。」
「彼氏は? 寝てるの?」
「彼はさっき出て行った・・・」
「何処に!? こんな時間に!?」
「分からない・・・タクシー呼んでた・・・。
出て行く前にママと話してたから、ママのとこかも・・・。」
「・・・ったく・・・。 ほんとマザコンだな・・・。
じゃあ今は家に一人なの?」
「そう・・・。
どうしていいか・・・分からなくって・・・。」
「とりあえず落ち着け。
ちょっと今は彼氏の事は考えるな。
無理かも知れんけど、深く考えるな・・・。」
「ありがとう・・・。」
「迎えに行こうか・・・?」
「・・・え?」
宮本さんは、情に厚い九州男児。 決して男前ではないけれど、本当に、ソウルメイトと呼べるくらい熱い男で、困っている人がいれば全力投球で救いの手を伸べるような人です。
「話聞いてやるから準備して待ってな。」
「でもうちは・・・」
「同棲してる部屋に上がり込むワケねーだろ。
ファミレスとかで話聞くから。
後でメールで住所送って。
その辺なら多分、1時間もかからんけん準備しとき。」