ダーリンはマザコン -9ページ目

別れ話(2)

「別れて欲しい・・・。」







エアコンの音だけが自由に舞う静寂の中、私は宏樹の答えを待ちました。


自分の決意が揺るがないよう、心の中では悪い事ばかりを回想し、宏樹との想い出、宏樹を心から愛した事、プロポーズしてくれた宏樹の気持ち、それらをすべて考えないようにしていました。


何分か経った頃、宏樹は俯いたままポタポタと涙を落とし、声にならない声で静寂を破りました。 正直、心が引き裂かれそうでしたが、やっと私の気持ちが伝わったという安堵で、不思議と緊張がほぐれました。






「美砂・・・。 俺は母さんを裏切れない・・・。

 俺は今まで、何度も母さんに別れろって言われてたけど・・・

 美砂が俺を好きだって信じてたから別れなかった・・・。


 でも・・・


 美砂に気持ちが無くなってたなら・・・

 もう終わりだ・・・。


 やっぱり母さんの言う通りだった・・・。

 美砂はいつか俺を裏切るって・・・。」






この期に及んで、お決まりの 「母さんが・・・」 です。






「俺も・・・もう美砂の事を好きかどうか・・・

 本当は分からなくなってたんだ・・・。


 美砂よりもっと・・・

 俺や母さんを分かってくれる人がいて・・・。」











!?











What?










「俺は・・・浅井さんって人の方が・・・

 好きかも知れないって・・・思ってて・・・。」











¿Qué?











「でも浅井さんには・・・一度振られてるから・・・

 やっぱり美砂の方が合ってるのかな・・・って思ってて・・・。」























「・・・ざけんじゃねぇよ・・・」










「え・・・?」










「ふざけんじゃねぇよ」









「!?」






「宏樹がそういうつもりなら、とっくに別れてたんだよ!!」



「俺だって!! 美砂がそういうつもりなら・・・」



「私がお母さんにいびられてる間、

 宏樹は浅井サンという女性に惚れてたんだって!?

 じゃあ・・・私は何の為に・・・

 何の為に・・・今まで耐えてたんだよ!!!」



「俺は・・・!!

 俺はそれでも浅井さんを諦めて、美砂を選んだんだよ!!

 浅井さんも俺の母さんとは合わないって言ってたから!!」







私は二股を掛けられていた事を、つい昨晩知ったのです。