別れ話(2)
「別れて欲しい・・・。」
エアコンの音だけが自由に舞う静寂の中、私は宏樹の答えを待ちました。
自分の決意が揺るがないよう、心の中では悪い事ばかりを回想し、宏樹との想い出、宏樹を心から愛した事、プロポーズしてくれた宏樹の気持ち、それらをすべて考えないようにしていました。
何分か経った頃、宏樹は俯いたままポタポタと涙を落とし、声にならない声で静寂を破りました。 正直、心が引き裂かれそうでしたが、やっと私の気持ちが伝わったという安堵で、不思議と緊張がほぐれました。
「美砂・・・。 俺は母さんを裏切れない・・・。
俺は今まで、何度も母さんに別れろって言われてたけど・・・
美砂が俺を好きだって信じてたから別れなかった・・・。
でも・・・
美砂に気持ちが無くなってたなら・・・
もう終わりだ・・・。
やっぱり母さんの言う通りだった・・・。
美砂はいつか俺を裏切るって・・・。」
この期に及んで、お決まりの 「母さんが・・・」 です。
「俺も・・・もう美砂の事を好きかどうか・・・
本当は分からなくなってたんだ・・・。
美砂よりもっと・・・
俺や母さんを分かってくれる人がいて・・・。」
!?
What?
「俺は・・・浅井さんって人の方が・・・
好きかも知れないって・・・思ってて・・・。」
¿Qué?
「でも浅井さんには・・・一度振られてるから・・・
やっぱり美砂の方が合ってるのかな・・・って思ってて・・・。」
「・・・ざけんじゃねぇよ・・・」
「え・・・?」
「ふざけんじゃねぇよ」
「!?」
「宏樹がそういうつもりなら、とっくに別れてたんだよ!!」
「俺だって!! 美砂がそういうつもりなら・・・」
「私がお母さんにいびられてる間、
宏樹は浅井サンという女性に惚れてたんだって!?
じゃあ・・・私は何の為に・・・
何の為に・・・今まで耐えてたんだよ!!!」
「俺は・・・!!
俺はそれでも浅井さんを諦めて、美砂を選んだんだよ!!
浅井さんも俺の母さんとは合わないって言ってたから!!」
私は二股を掛けられていた事を、つい昨晩知ったのです。