一時期多くのカメラ屋さんにあった写真のミニラボ機。
現在どれだけ残っているのでしょう。ほとんどがデジタルプリンターになってしまっていると思います。
このミニラボ機というのは、ネガを拡大して印画紙に焼き付ける装置なので、内部に引き伸ばし用のレンズが入っています。
私は普通の引き伸ばしレンズが転用されているのだと思っていたのですが、専用設計のレンズが入っていたのですね。
業務用レンズですか結構なお値段で、100万円オーバークラスだったらしいです。
もちろん民生用とは販売数が異なるので、100万や200万のレンズが、民生用5万や10万のレンズに勝っているとは言い難いのですが、少なくとも特定条件、引き伸ばし用として、基準倍率での歪曲収差がや色収差などを抑えることに特化した設計がなされているはずです(ただしサービス版プリント、せいぜいキャビネ位までのプリントが前提のミニラボ機だと、大した拡大率にならないので、高解像度設計は真っ先に切り捨てられているかもしれませんが)
ノーリツとフジが当時のミニラボの主力メーカーだそうです。
フジは当然フジノンを入れているでしょう。
ノーリツは他社からレンズを仕入れ、NORITSU銘をつけて部品として販売しているのですが、なんとあのNikonもレンズを供給していたという話が。
なんとなくワクワクするではないですか。
Printhing Nikkorとまではゆかないでしょうが、その手の目的で作られたNikkor?が入っているのかもしれないのですよ。
もう随分前に生産中止、サポートさえもとっくに終了している機械なので、モノは多くありませんが、eBayやヤフオクに産廃部品価格で出ています。
NORITSU 112-145/8-9.4
しっかりしたフレームに固定されていて、いかにも産業部品という感じです。フレームには6x7 127x89とありますので、6x7版(56x70)をサービス版に拡大するためのレンズなのでしょう。
ということは基準倍率は3倍位で作られているはずです
レンズだけだとそれほど大きくはありません。
銘板のある側のレンズ筒径は40mmくらいですが、40.5mmのレンズキャップがはまります。
マルチコートされた綺麗なコーティングです。
反対側は外径60mm位でほぼフラットになっています。
こちらには手持ちのコンバータレンズ用のキャップがぴったり合いました。
焦点距離は112-145なので、1.3倍程度のズーム(バリフォーカス)になっているはずですが、それらしき部分はネジで固定されています。
プリントサイズやトリミングのために拡大率を変更するものではなく、機種や条件による調整機能なのでしょう。そんなの機械側に任せて、その分光学性能を追求してくれ、と思うのは私だけ?
カメラに取り付けて撮影に使用するには、どちらを対物側にすべきなのかはわかりませんが、レンズ固定用のネジはM65位の感じなので、それに合うアダプターを用意してベローズかチューブを経由して装着するか、ボードにはめて大判カメラにでも固定することになります。既製品では対応できそうもないので、若干の工作ないしは工夫が必須です。
手持ちのベローズに当てた感じだと、細い筒側であればライカのベローズIIとPB-4は通せるものの、自動絞り機能のあるPB-6はダメでした。
レンズ本体にはOEMメーカーを示すような情報は全くみあたりません。ネットも調べてはみましたが、Nikon製である可能性はあるものの、いま一つ具体的な情報に乏しく、メーカーを特定するのは難しそうです。
好事家的には「Nikonかもしれない」というあたりで愉しんでおくのがよいのかもしれませんね。