まだ寒かった3月の初めに頂いたメール
某大学が講義に登壇してくれる企業経営者を探していて、それを私にお願いできないかと、
講義テーマ「自社の経営分析と今後の経営戦略」
期待される講義内容は「財務諸表の見方、財務分析手法の基礎を解説する。財務諸表分析をテーマとして、財務諸表の見方や分析手法を習得し
ご依頼者は「お断りしづらい系」の方だ。これまでも二つの大学での講義のご依頼を頂きお引き受けした。過去の二つは割と簡単で自分の経営について語れば良いというもの。社内のいくつかの資料を組み合わせればプレゼン資料は即座に完成した。講義も学生さんを飽きさせることなく、少なくとも先生からはとても好評だった。
しかし、財務諸表の分析を学生さんに分かり易く伝えるって、、、
いやいや、流石に無理でしょう(-_-;)
専門家じゃないし、、資料作りだけでも大変だなー
と思ったものの、お断りしづらい方からのご依頼で且つ、この大学の出身者は丸信ではほぼ全員が活躍しており、応募が増えたら嬉しいかも、、なんて皮算用が無いかと問われれば嘘になる。
しかも可愛い姪も通っている。
お引き受けします!
そうお伝えしたものの、講義がGW後だったこともあり、しばらく寝かせておいた。というより手がつかなかった。しかしあっという間に桜は散り、GWに突入。とうとうGW中に講義資料作成をやる羽目に。
自宅に自社の3期分の決算書、過去印象に残った会計についての書籍などを持ち込み、5月3日の朝から取り掛かかった。
前職が生保で、節税型の保険を販売していた。(今はこの手の保険は当局より節税効果を無力化されてる)
税理士事務所に代理店になってもらい、そのクライアントに節税策の一環として保険を提案してもらうというもの。
海千山千の税理士や企業経営者に対し、23歳の物理学科出身の私が節税を提案するって、どう考えても無理筋だし、酷な仕事だった。30名いた同期で2年目を迎えられたのは僅か10名のみ。
必要性から土曜日に簿記の学校に通った。最初から日商簿記2級の講座を受講。学んでみたら世の中に物理より難しい事って実はそんなにない。半年後の試験は恐らく満点で合格したと思う。その勢いのまま1級の講座を受講。内容は辛うじて理解できたが、これは相当回答する練習積まないと試験時間内に全問回答するのは無理だ。当時は夜10時、11時まで仕事が当たり前、土曜日も午前中は出社の場合が多かった。社内外の酒席も多く、日曜日は泥のように眠る生活で勉強時間の確保に大苦戦。手先不器用で電卓もままならない。一度の受験で不合格となり、そこで諦めてしまった。
ま、それでも簿記会計の知識の基礎が前職の節税提案経験とこの簿記学習で築けたのは間違いない。その後、管理会計は30代後半で学んだ大前さんのビジネススクール(BBT大学院)時代に毎週1社、2年間で100社のケーススタディに取り組まねばならず、毎週のように各社の有価証券報告書を読みこむ中で鍛えられた。
そういう意味では素人ではない
どこかで自分はやれると思ってお引き受けしたのだろう。
資料作成に取り掛かると、どんどんアイデアが湧いてきて、サクサクと作り込みできた。
前期(2025年2月期)は弊社売上はインフレもあって増えたものの、25%以上も営業減益だ。褒められた決算書ではないが、なぜ減益になったのか、今期どう盛り返すのかを学生さんと一緒に考察しようというもの。
前期の決算書が経営者の意思決定をどう反映しているかなどを、実際の製造原価報告書や販管費明細書までをお見せしながら解説し、リカバリープランでは売上UP、粗利率改善、経費削減した場合でシュミレーションし、感度分析までお伝えするというもの。
最後には大学で会計を学ぶ学生さん向けに、アルバイトに励むより日商簿記1級を目指せとエールを送って締めくくるつもりだ。
履歴書の中で「日商簿記1級」を見落とす採用担当者などいない。ガクチカもこの挑戦一本でストーリー組み立てたら良いだろう。他の応募者との決定的な差別化に成り得る。
そして、その挑戦へのきっかけが
「たまたま大学の会計の授業で現役経営者の方の講義を聴いて心に火が付きました」
だったら最高だ。
GW明けに早速、依頼者と大学の先生に資料をお送りし、主旨とズレてないか確認してもらった。昨日回答を頂き、
「期待以上です」
とのフィードバックを得た。
なんとか苦労が報われそうだ。
加えて、この資料をまとめる過程で自分の頭が整理された。
なぜ大幅減益になったのか?
新工場も建てたし、製造設備への投資も過去最高額、新規採用増に加え、賃上げ等もあった。未来投資も減らしていない。もちろん大まかにはこうなることは体感で分かっていたが、今回の講義資料作成過程で、より細かに分析でき課題も明確になった。その一部を昨日の社内会議でも早速流用して現状の問題点と今後の方向性を示した。学生さん向けの資料は会計音痴の社員さんにも理解を得られたようだ。
ドラッカー曰く「人は自らが教える時に最も学ぶ」
中村文昭氏曰く「頼まれごとは試されごと」
本当にそうですね。
講義本番が楽しみだ。
土曜日のリビングにて