もう何年も新しいスーツを新調していない。
以前は毎年1着は地元の百貨店で仕立ててた。
その百貨店が久留米から撤退したのが最大の理由だ。
とはいえ百貨店に代わって久留米市民が足繫く通う「ゆめタウン」で採寸している姿を社員さんに見られては、それこそ「夢」を壊してしまいそうだ。かと言ってスーツの為に博多まで出掛けるほどの情熱は持ち合わせていない。こういう思考が老化の第一歩なのかも。
お腹周りが膨らんでしまい7,8年前に仕立てたスーツはちょっとサイズが合っていない。
一方でユニクロのスーツは2着持っていて、週に2回は着てるだろうか、お値段、上下でなんと1万円。体形測って仕立てたわけではないのでジャストサイズとはいかないが許容範囲だろう。
夏は特に重宝する。汗を掻いたら、洗濯機にぶち込んで丸洗いして、干せば、元通り。自分から言わない限り、ユニクロのスーツだとバレた事もない。
一度を除いて。
東京である方とお会いした際、一撃で見抜かれた。なぜなら、その方も同じスーツだったからだ。
まさに「ユニかぶり」によって「ユニばれ」したわけだ。
ただワイシャツも含め、ユニクロ製品の品質は年々向上しており、このスーツに至っては「イノベーション」と言って良いだろう。9年も前にユニクロの進化についてブログに残している。当時、やや批判の多かったこの日本初のグローバルアパレル企業を素直な心で擁護した。
LifeWear(ライフウェア)というコンセプトが日本の消費者だけでなく、今や世界中で受け入られつつある。最小公倍数に絞ったアイテムを品質を高めながら、飽きのこないシンプルなデザインで提供する。そして今やそこまで安くない。
このやり方だと流行に左右されずらく、業界特有の季節毎の在庫の売れ残りリスクも軽減されるからビジネスとしても素晴らしい。
今年春に出た本だが、丸信で将来経営を担う方に、長いお正月休みに是非とも読んで欲しいのがこの本だ。分厚い本だが、飽きる事なく一気に読めるだろう。大好きな高杉良の経済小説より面白い。
日経新聞の記者が柳井社長や関係者に綿密な取材をしながら柳井社長、そしてユニクロのこれまでの歴史に迫った物語だ。
宇部の田舎で何者にもなれていなかった青年。大学卒業後、コネで就職したイオンを9か月で辞め、東京で友達のアパートに転がり込んでのニート生活。そんな青年が、ニートを卒業し家業の紳士服屋の経営を任され、そこから読書や様々な人との出会いから学び続け、悪戦苦闘しながらも今のユニクロを築き上げるまでのストーリー。若く雌伏の時代には僭越ながら私より遥かにダメ人間だった柳井青年が偉大な経営者に成長していくプロセスに大きな示唆がある。
何が私と柳井社長を分けたのか?
いくつもあるが、
・20代の頃から経営を任され、先代は口を出さなかった。(若いうちからの試行錯誤で経験値を高めた)
・私を遥かに凌ぐ読書家であった。(酒は飲まず夜は読書)
・これは!と思えば人や企業に直接会いに行って尋ねた。
・失敗から多くを学ぼうとする姿勢
・勝負所で佐藤可士和氏や東レなど超一流の外部を力を活用してきた。
等々だ。
ただ決定的な違いは「志」だと思う。
柳井社長が最も影響を受けたとされる
その中に「三行の経営論」という経営のコツが示されている。
本を読む時は、初めから終わりへと読む。
ビジネスの経営はこれと逆だ。
終わりから始めて、
この本に衝撃を受け「世界一」を目標に定めたことが今日のユニクロを創ったのだ。松下政経塾の塾頭を長く勤められた上甲晃さんが研修で
「人生は自分の想い以上の結果は出せない。想いを大きく」
と仰ったが、これと通底している。
進出した海外では各国で惨敗続きだったが、それさえも乗り越え今や海外の売上・利益は国内のそれを大きく上回る。
その過程で多くの若者に試練を与えながら鍛えに鍛え、大企業病に陥りそうな社内の雰囲気を幾度もちゃぶ台返しし、鼓舞し続け、売上3兆の規模になった今も活力を失わない企業を創り上げたのだ。
翻って、私など
お客様への提供価値を高めつつ、少しづつ成長できれば良い
という低い志のまま、もうすぐ55歳を迎えてしまう。
残りの人生では今日が一番若い。
「志」を大きく持って飛躍したいものだ。
朝のオフィスにて


