ニュータイプの時代 | 株式会社 丸信 社長のブログ

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株式会社丸信 代表取締役 平木洋二のブログ
包装資材販売、シール・ラベルの印刷、紙器印刷加工業を営む株式会社丸信の社長のブログです。

小学5年の時、あるアニメが空前のブームとなった。

夕方5時になると町の公園から子供達が消え、誰もがテレビの前に陣取った。

 

機動戦士ガンダム

 

1960年代、1970年代生まれの男子にはたまらないアニメだ。

誰もが品薄のガンプラを求めて、模型店をハシゴした。

私も例外ではない、貯めたお小遣いを握りしめ、自転車で筑後川を渡り、佐賀県北茂安町にまで買いに行った記憶がある。

今までのアニメが幼稚と思える位、大人びたストーリーや濃いキャラの登場人物に魅了された。

 余談ながら、最初の放映時には視聴率が振るわず、打ち切りになったのは有名な話。再放送や再々放送でブームに火がついて、やがて社会現象にまで発展した。

 

主人公の少年アムロ・レイが厳しい戦いの中でやがて大人へと成長し、さらに徐々に一種の超能力と言える危険予知やテレパシー的な力を獲得していく、、そんな超能力者を物語の中では

 

「ニュータイプ」

 

と呼んだ。

映画も観に行ったなー

 

さてさて、余談はこれくらいにする。

 

長いスランプでブログが書けないでいる、、

困った時はセミナーか読書ネタしかない。

 

会社では輪読会を続けている。もう14年目。

毎月1冊を私が選んで、それを参加者が読んで、メーリングリストに感想を投稿するというもの。

メンバーが大きく増えることはないが、一定の方が続けてくれている。

 

今月選んだのが、山口周氏の

 

「ニュータイプの時代」

 

ニュータイプの時代

 

 

山口氏は1970年生まれ。恐らく聡明な彼とて、子供の頃はガンダムにインスパイアされたはずだ。そこからこのタイトル来てんのかなー、なんて低レベルな想像をしつつ、読みはじめた。

 

我々には結構、難しい本だ。カタカナが多い。

輪読会のメンバーからも

 

「カタカナ用語が多くて全然頭に入ってこない」

 

との感想も寄せられた。正直に告白すると私も数回、Google先生の力を借りた。

 初版が2019年のコロナ前、もう4年経っているが、著者の鋭い洞察は色褪せていない。

 

・20世紀型優秀者さの終焉

 

著者はこの本で伝えたいメッセージを

 

(以下、引用)

 

20世紀の後半から21世紀の初頭にかけて高く評価されてきた、従順で、論理的で、勤勉で、責任感の強い、いわゆる「優秀な人材」は今後「オールドタイプ」として急速に価値を失っていくことになるでしょう。

 一方、このようなオールドタイプに対置される、自由で直感的で、わがままで好奇心の強い人材=「ニュータイプ」が今後は大きな価値を生み出し、評価され、本質的な意味での「豊かな人生」を送ることになるでしょう。

 

(引用 終わり)

 

としている。

 世の中の要請に対して相対的に希少な能力や資質が「優秀さ」として高く評価される。

 世の中の要請を知る為に6つのメガトレンドを最初に示してある。

 

・飽和するモノと枯渇する意味

・問題の希少化と正解のコモディティ化

・クソ仕事の蔓延

・社会のVUCA化

・スケールメリットの消失

・寿命の伸長と事業の短命化

 

これらの時代背景をもとにニュータイプに求められる視点や行動様式を

 

・価値創造

・競争戦略

・思考法

・ワークスタイル

・キャリア戦略

・学習力

・組織マネジメント

 

について解説している本である。

 

今、希少なのは問題の解決能力よりも問題を発見したり、意味創出する能力であると。

 確かにChatGPTは知識だけなら医学部合格と司法試験の上位10%と有名MBA卒業と同等であると言われている。

「問題」を「望ましい状態と現在の状況が一致していない状況」とするならば、「望ましい状態」を定義できないから「問題」を特定することができない。

つまり「問題の希少化」とは「あるべき姿=ビジョン」を思い描ける人が少ないということを意味する。

もう一つこの本で最も重要と思えた点を紹介したい。

 

それは経営者やリーダーが可変な経営資源はメンバーのモチベーションであるということ。そして動機づけには「意味」が最も重要であると。

経営資源であるヒト・モノ・カネのうち、モノもカネも一旦確定すれば、その後の量が変わるということはないが、ヒトの能力はそれを導くリーダーの「意味」の与え方によって簡単に増減する。つまり「意味」を与えることによってヒトというリソースから大きな能力を引き出すリーダーこそが大きな経済価値を生みだす。

 

自社の事業を包装資材や印刷物を販売すると定義づけたら、意味付けなどできない。つまり社員の能力は引き出せない。人も集まらないだろう。

社員から共感を得て、彼らを奮い立たせることのできるような意味を生み出し、モチベーションを引き出すのがニュータイプのリーダーであると。

 その他、多くのニュータイプの視点や行動様式を解説しているが、著者が素晴らしいのは、これらの提言を圧倒的なリベラルアーツ(歴史、生物学、宗教、哲学、アート、演劇、心理等)に基づいた様々な事例から導き出し、分かり易く解説している。同世代でこれだけ幅広い教養を修めた方は私の周りにいない。

 

リベラルアーツを学ぶことで自分の中に目の前で常識とされているものを相対化、客観視できるリテラシーを持てる。この「常識への違和感」が誰もが気づかない新しい問題提起へとつながる。

 

私立理系出身で受験科目も英語・数学・物理のみ。大学では専門科目は授業もサボらず頑張った。一方で一般教養科目は真面目に勉強せず、卒業ギリギリの単位しかとらなかった。社会人になってからも読むと言えばビジネス書ばかり。こんな偏った学び方ではダメなのだ。

 

この歳からどれくらいリベラルアーツを学べるかは分からない。もう手遅れ、、頭をよぎる。

ただ人生で今日より若い日は二度とは来ない。