私どもの本社は久留米市でもかなり田舎の方に位置する。
旧国道とバイパスの終着点が交差する点からさらに田舎へ。1車線だから田舎の割りに無駄に混む。
耳納山麓を望む牧歌的なロケーション。
久留米インターから車で7〜8分くらいだろうか。
数年前、弊社よりやや市内よりのその旧国道沿いに突然ホテルができた。
周りには居酒屋やレストランはおろかコンビニすらない。
料金は朝食付きで4950円
https://www.az-hotel.com/kurume/
こんな値段で採算とれるのだろうか?
その前にこんな田舎に誰が泊まるのだろうか?
ところが、毎夜、会社帰りに前を通るのだが、窓の明かりの数からすると悪い時で6割、良い時は8割くらいの稼働率だと思う。コロナ禍でも変わっていない。
駐車場にもかなり車が停まっている。
もちろんセダンやファミリーカーの姿はない。
営業車や工具や部品を積んだライトバンなどが多い。
このコロナ禍で出張は減っているはずだし、
いくらなんでもこんな場所じゃ不便だろうと思うのだが、、
このホテルはファミリーレストラン「ジョイフル」の経営者が引退後、創業した会社だと聞く。九州では珍しいシリアルアントレプレナーと言って良いだろう。
なんとこちらも上場している。
https://www.az-hotels.co.jp/ir/
決算短信を見ると、直近9ヶ月で流石に売上は26%落としているが、なんと売上高営業利益率は10%以上。
通期でも10%を維持するとの予想を出している。
下手したら現在、世界で最も高収益なホテルチェーンはこの大分の会社かも。
高収益ホテルチェーンの代表格はアパホテルだが、アパホテルとは立地や価格戦略において真逆の戦略だ。
アパは未上場だから現在の業績は分からない。おそらくは、、、
大分に営業所を立ち上げる際に営業所の近くにはこのホテルしかなかったからよく泊まった。
そこは一階にジョイフルが併設されているので食事には困らない。
初代の所長とジョイフル飲みして、散々飲んで食べて合計4000円しなかったのは良い思い出。
泊まった印象はミニマムのホテル。
最低限のものはある。ベット、机、洗浄機付トイレ、シャワー。清掃もきっちりされている。私にとって決して泊まりたいホテルではないが、まあ、仕方ない、安いし、近いしといったホテルだった。
売上が26%落ちても営業利益率10%を出すという事は損益分岐点が低く、固定費の変動費化が行われていて、需要に応じてコストをコントロールできる仕組みがあるのだろう。
リネン交換や清掃業務は自前でなく、外注で一部屋いくらで契約すれば可能だろう。
田舎なので土地代は安い。建設費も相当抑えられているはずだ。
素晴しい経営だ。そして強い。
東京商工リサーチさんによれば、上場企業のうち、
その要因はもちろん、巣ごもり消費、
いち早く、コストを削減できた企業が業績を好転させている。
非常時にはコストが削れるような体制になっているのだろう。
一方で我々は何でも自前主義で、自前の土地、自前の建物、そして社員を雇ってきたので、仕事量に応じてコストをコントロールすることができない。常に一定の稼働率を前提にしている。
売上が今後も増えていくことが存続の条件となっている。
しかし、このコロナは乗り越えられたとして、別の問題、天災や地震などに対してはどうだろうか?しかも人口が減り続けるこの国だ。
接待交際費や交通費のようなものは大幅に削減できたが、その他は下がっていないので、社員さんは予定通り増えて販管費は増加した。売上、粗利が15%~20%も下がれば赤字転落は免れない。
その一方で自前は強力だ。
スピードや一体感が全然違う。
いざという場合には無理が利く。
せめて、お客様への提供価値に直結しない固定費は変動費化できないものか、、試算表を眺めるもアイデア浮かばず、、、
悩ましいところだ。