ここ数年、私は「守り」に傾きすぎていたのかもしれない。
ガバナンスの強化や予実管理、コンプライアンスの徹底といった管理業務に多くの時間を割くようになってしまっていた。もちろん、組織として永続していくためには絶対に必要なことだ。しかし、正直に言えばこれらの「ワクワクしない」業務に追われ、経営者として最も重要な「未来の種を見つける」ためのインプットが不足していたように思う。
そんな中、先日、ある先進的なモノづくり企業の工場見学(広義の同業者)と、その経営者の講演を聴く機会に恵まれた。
衝撃だった。
(講義資料とメモを基にGeminiでインフォグラフィックを作らせると一発でこの図が出てきた、、凄いことだ)
この会社は、小ロット多品種のオーダーを極限まで効率化し受注している企業なのだが、何より驚かされたのは「顧客視点に立った自動化」の徹底ぶりだ 。 受注にかかるコストや手間を徹底的に排除している 。さらに、社内に機械やシステムの専門部隊を抱え、既製品であるはずの印刷機等の生産機器であっても、自分たちの使いやすいように、あるいは顧客が求めるスピードを実現するために、自らの手でスピーディーに改造し、システムなどは日々改修しているのだ 。 ハードウェアエンジニアとソフトウェアエンジニアが現場と一体になり、圧倒的なスピードで生産性と利便性を高め続けている 。
私は打ちのめされた。
「我々は10年は遅れている……」
完全な同業というわけではないが、印刷やモノづくりとお客様へのお役立ちを掲げる会社として、あまりにも大きな差を見せつけられた。悔しかったが、素直にそう認めるしかなかった。
しかし、打ちのめされて終わるわけにはいかない。
「良い話を聞き、素晴らしいものを見たら、何か一つでも即行動する」
TTP(徹底的にパクる)こそ貫いてきた信条だ。
過去を振り返っても、優れた会社や経営者から学び、「これは!」と思ったものをすぐさま取り入れてきた。食品のECサイト「九州お取り寄せ本舗」を立ち上げたのも、自社内に「食品検査室」という専門設備を作ったのも、すべては外での出会いと、そこからの「即行動」が始まりだった。それが結果として、当社ならではの「お役立ち」の形となり、企業価値を上げてきたのだ。
だから今回も、視察を終えてすぐに行動を開始した。
まずは生産現場のアップデートだ。
営業出身社長だから現場は現場に任せるべきと遠慮していたのかもしれない。
生産性や品質を飛躍的に向上させるため、機械の改造という発想は持ち合わせていなかった。内部に適した人材も見当たらず、、、
あ!「あの人」ならできないか?地元でモノづくりを昔から行っている企業の二代目さん。20年以上前の営業マン時代に、お客様から依頼されていた内職の仕事を効率化する機械を開発してもらったことを思い出した。
久しぶりにメッセンジャーで問い合わせてみると
「私、この類いのお仕事なら、数社様の工場でさせてもらってます!」
早速今月末に来社いただき、工場を観てもらうことになった。工場のメンバーにも現場の「面倒くさい」「こんな改造できないか」を集めるよう指示した。お会いするのが楽しみだ。
自社だけで無理なら外部の力を借りてでも実現させたいし、現場のハードとソフトを高速で進化させていきたい。
同時に、顧客接点であるフロント部分UIの改善にも着手したい。 当社が運営している印刷通販サイトも、まだまだ売り手側の都合が残っている。これを真の顧客視点に立たせ、「見積もりの完全自動化」や、お客様がタイムリーに知りたい「納期の見える化」などを実現すべく、システムの根本的な見直しに踏み出そうとしている。お客様が夜中にアクセスしても、その場で見積もりと納期が分かり、ストレスなく発注できる世界を創らなければならない 。見直しに踏み出そうとしているが、実現には少し時間が掛かりそうだ。でもやらなきゃ未来はない。
改めて自戒を込めて、丸信の未来の経営者にお伝えしておきたい。
会社を守るための管理業務は大切だ。しかし、定期的に優れた会社や経営者の工夫や熱量に直接触れ、自分たちの現在地を突きつけられる機会を得続けなければ、会社は絶対に良くならない。日常業務に埋没していたら、自社の「遅れ」に気づくことすらできないと思うのだ。
ありがたいことに、今の丸信は印刷業界では少し注目されており、取材や見学のご依頼をいただくこともある。斜陽産業の中で連続増収を続けていることが、驚きに見えるのかもしれない。ただそれは、あくまで『印刷会社にしては・・』なのだ。謙遜抜きに、真のトップランナーから見れば『10年遅れている』のが冷静な客観的事実だ。
社内を見渡しても、令和も8年になるのに、まだまだ「昭和」の仕事振りだ。経営者が昭和気質だから仕方ない。
ただ、過去の経験から言えるのは
「経営者がリアルにイメージできたものは実現できる」
ベストプラクティスに学び、古い会社の殻を破り、社内外の力を結集して、お客様の「不」を解消する。常に考え、仕組みを作り直し、現場を改造していく。
強固なガバナンスという土台の上に、もう一度「ワクワクする会社」を創り上げたい。
出来上がった仕組みの中で、言われたことをこなすだけの仕事は決して面白くないだろう。丸信には今、解決すべき課題の山と、それをひっくり返すための大きな「余白」がある。最新の技術や外部の知見を巻き込みながら、会社を劇的に変えていく。そんなダイナミックな変革を、自らの手で推し進める経験は、必ず皆さんのキャリアにとって大きな財産になるはずだ。
この挑戦を一緒に楽しんでくれる仲間を、社内外から私は本気で探している。
少しでも「面白そうだな」と感じたら声を掛けて欲しい。
まだまだ丸信は進化できる。私自身も、もっと外に出て学び続けなければならない。
道遠く、半ばなれど我行かん。
朝のオフィスにて
