このままもっと vol.10 | sakurabaでいっぱい 〜SA妄想小説〜

sakurabaでいっぱい 〜SA妄想小説〜

赤さんと緑くんによるソフトな萌キュンイチャコラですが、激しめなものも書いておりますので未成年の方、男性の方はご遠慮下さい。

コメントは基本的に未承認にしております。




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。。。。。

S-side







指定されたのは少しカジュアルなホテルのロビー。



店に直接行くとかじゃないのかな?



ま、行こうにも、名刺には店の住所も電話番号らしきものもなにも載ってなかったから自分では行きようもなかったんだけど。



URLを開いてもなんの飾り気もない、ただ日時を予約できるようになってるだけで。


俺はとりあえず一番近くて、都合のつく日時を押さえた。


折り返し、すぐに登録したメールアドレスに『ご予約完了いたしました』と簡単な文章と、待ち合わせ場所らしき名称と住所が記されていた。



結局なんの店かまったくわからず、頭の中がまだハテナマークでいっぱいだったけど……


あの人に会える、それだけで初めて恋をしたような甘酸っぱい気持ちが心を占めていた。




よく考えたら、こんな想い、初めて、かも。


前述の通り、俺ははっきり言って女に不自由したことなんてない。

いつも向こうから告白されて、その時に彼女がいなかったらほとんどオッケーしていた。

そんな始まりだからなのか、『アナタは私を見ていない』といつも向こうから別れを切り出される。

そう言われてもすがりつくどころか素直に了承してきた。


そうすると、俺がフリーだと気付いた女どもがこぞって言い寄ってくる。


最近はそんなのすら煩わしくて、そういう女性は作らなかったんだけど。




だから、誰かのことを考えて胸が苦しくなるとか、


その人に会えて心躍る気持ちになるとか、



そんな気持ちになったことがない。



……なのに、どうだ。


時間にすれば5分もない、あの僅かな間に恋に落ちた。


一目惚れなんて俺の辞書にはなかったはずなのに。


しかも……オトコ。




でも、確かに今、


俺は、あの人のことを考えるだけで胸が苦しくなってる。


あの人に会えると思うだけで心躍る気持ちになってる。




……いい歳して何考えてんだ。


もう二十代も半ばを超えたところなのに、おかしなもんだ。



でも、こんな年でも胸がキュンとする、なんだかむず痒い感覚を初体験してる。



今まで付き合ったどんな女と会う時も、こんなにそわそわして待っていたことなんかあったか?



イヤ、これも初体験だ。





「あの……もしかして、『S.S』さん?」


俺が座るソファの背後から、鈴がなるような声が聞こえてきて思わず俺はガバッと振り向いた。



待ち合わせた相手に会えた時の、この心から感じる嬉しい気持ち……



……これも初体験だ。



「あ、ああ……そ、そう…です……」

「あ、良かった。そうかな?って思ったんだけど……
えっと、待った?」

「イヤ……今、来た、とこ……」

「ほんとぉ?ゴメンね、お待たせしちゃって」


彼は俺の右隣のソファに座ると、上目遣いに見上げながら少し申し訳なさそうに眉をひそめた。



「あ、ううん。大丈夫…
ホントに、そんなに待ってないから……」

「そ?よかった。どうする?もうお部屋行っちゃう?
ここでお茶してからでもいいけど」

「……部屋?
え?あ、もしかして…このホテルの部屋?」


彼はキョトンとした顔を一瞬見せたあと、コロコロとかわいく笑った。


「そう言えばオレ、名刺渡しただけでなんの説明もしてなかったよね」

「ん、まぁ…そう、だね……」


そんな、なにもわからない状況で来る方も来る方だが。

俺がそう思ったのがわかったのか、

「でも、よくなんの説明もしてないのに予約取ってくれたんだね」

「えっと、あの…打った頭も心配だったし…
それに、あの、えっと……会いたかった、から……」

「……え?」

「キミに……もう一度、会いたかった、から……」


俺が彼の目を見つめながらそう言うと、彼は少し恥ずかしそうに顔を赤らめてはにかんだ。


その顔がものすごくかわいくて……


俺の心臓が早鐘を打っている。


目の前の彼にも聞こえてしまうんじゃないか、そんな不安に駆られながらも、彼の顔から目をそらすことができなかった。



「ふふ、櫻井さんてば、そうやっていつもオンナノコを落としてんの?」

「えっ?ええっ!?イヤッ、なんで?
そんなこと、したことないから!」

「ウソばっかりぃ~。
櫻井さんみたいなイケメンさんにそんなこと言われたらオンナノコなんてイチコロだよね」

そう言って俺に向かって手を伸ばしてくる。



「オレも……会いたかった、なんて……」


妖艶な笑みを浮かべながら俺の頬にすっと指を滑らせてきたとたん、俺はその手を握りしめていた。


「……っ、?」





……ここが、人の多いロビーでよかった。



もし、今、ふたりきりだったなら……



俺はその華奢な体を抱きしめて、



そのキレイに色づいた唇を、



きっと、



塞がずにはいられなかったから……。







つづく……






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やべぇ、調子にのって夏疾風のはなしばっか書いてたらコレ書けなくてストックがなくなってきた……。

明日からまた忙しいから、アップなかったら気長に待っててね!(^ー^;)