このままもっと vol.11 | sakurabaでいっぱい 〜SA妄想小説〜

sakurabaでいっぱい 〜SA妄想小説〜

赤さんと緑くんによるソフトな萌キュンイチャコラですが、激しめなものも書いておりますので未成年の方、男性の方はご遠慮下さい。

コメントは基本的に未承認にしております。




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。。。。。

A-side







「あの……もしかして、『S.S』さん?」


オレは背後から恐る恐る声をかけた。


とたんにガバッと振り向くからちょっとビックリしちゃったけど。



「あ、ああ……そ、そう……」

「あ、良かった。……待った?」

「イヤ……今、来た、とこ……」

「ほんとぉ?ゴメンね、お待たせしちゃって」


ドキドキする胸を密かに沈めながら、営業用の軽い口調で彼を見る。



「あ、ううん。大丈夫…
ホントに、そんなに待ってないから……」

「そ?よかった。どうする?もうお部屋行っちゃう?ここでお茶してからでもいいけど」

「……部屋?
え?あ、もしかして……このホテルの部屋?」



アレ?

そっか。

オレ、まったく説明しないで名刺渡しちゃったもんな。




「そう言えばオレ、名刺渡しただけでなんの説明もしてなかったよね」

「ん、まぁ…そう、だね……」


それなのに来てくれたなんて……



「でも、よくなんの説明もしてないのに予約取ってくれたんだね」

「えっと、あの…打った頭も心配だったし…
それに、あの、えっと……会いたかった、から……」

「……え?」

「キミに……もう一度、会いたかった、から……」




ウソ、でしょ……?

櫻井さんも、会いたいって……思ってくれてたの?



一瞬、顔がほころんだけど、慌てていつもの営業スマイルを出す。


そんなわけ、ないよね?


ただの興味本位でしょ?


見たところ、ノーマルそうだし。




「ふふ、櫻井さんてば、そうやっていつもオンナノコを落としてんの?」

「えっ?ええっ!?イヤッ、なんで?
そんなこと、したことないから!」

「ウソばっかりぃ~。
櫻井さんみたいなイケメンさんにそんなこと言われたらオンナノコなんてイチコロだよね」



自分でそう言いながら少し胸がキュッとなった。


これは、お仕事。


気持ちなんて…封印しないと……。



「オレも……会いたかった、なんて……」


そう思いながら、客の心をつかむいつもの言葉を囁く。





「……っ、?」


そっと櫻井さんの頬に指を滑らせると少し固まった表情で顔を赤らめる。




「オレね…カラダ売ってんの」

「…………はっ?」



まぁ、そりゃ驚くよね。



オトコがオトコを抱くだなんて……フツーじゃ思わないよね。


特に櫻井さんなんて、見たところ育ちも頭も良さそうだし、そういう世界とはまったく無縁そうだしね。


つーか、オンナのヒトがほっとかないだろうね。


わざわざオトコ相手にする必要もないよね。



でも、だからって……このまま帰したくない、って思ってるのは……






お金のため……?





それとも……






「あのっ、!」


櫻井さんに伸ばした手を引っ込めようとしたとたん、その手首を掴まれた。



「……えっ?」




「あの、その……へっ、部屋行くって…もしかして…そのっ……」



真っ赤になってどもる櫻井さんもカワイイ、だなんて……




「……そうだよ……どうする?」



ドキドキする気持ちを隠して、平静を装って櫻井さんに囁き続ける。




櫻井さんはこんな世界に来ちゃダメだよ……



こんな歪んだ世界になんか、来るべき人じゃない……





「おっ、俺……こういうの、よくわかんねーけど……でも、っ……




赤い顔をしてずっと下を向いてた櫻井さんが、顔を上げてオレを見る。




オレも同じように顔、赤くなってないかな?



こんなこと、慣れてるように見えないと、櫻井さんが萎縮しちゃう。




「俺っ……キミとっ、このまま一緒に、いたい……」


櫻井さんのその言葉にキュンとしなかったって言ったら、ウソになる。



でもそれと同時に苦しくなる。




櫻井さんは……こんな世界を知る人じゃないのに……




……いいの?



それでも、掴まれたその手を振り解けない。





「交渉成立、だね。
この度はご利用、ありがとうございます」



オレは逸る気持ちを抑えて、ニコッと営業スマイルをしながら、あくまでも営業用の言葉を口にした。







つづく……