自宅は築50年越えの空き家をフルリノベーション

インテリアと家づくりが学べる、一級建築士のブログ

 

 

 

 

家の断熱性能を高めるため、極限まで窓の数を減らした家がツイッターで話題になってました。

 

 

とある工務店の企画住宅(?)で、LDKには掃き出し窓が1つあって他は小さな窓が1つくらい。

 

とにかく窓が少なく日中でも常に照明が必要だろうな…

 

と誰が見ても容易に想像できるくらいです。

 

 

確かに窓の数を減らせば、家の断熱性能を示すUA値は向上します。

 

そういった意味では窓の少ない家は暖かいというのは間違っていません。

 

 

しかし窓から日射を上手に取り入れることが出来れば、冬の暖房費を大幅に削減することも可能です。

 

 

ということで、窓は断熱的に弱い部分ではあるが計画次第ではそれをカバーできるというわけです。

 

なので日射取得が期待できない北面に断熱性能の低い大きな窓を設ける、というのは理由がない限り避けたいところですよね。

 

 

それと窓は形状によって気密性が変わってきます。

 

 

日本では馴染み深い「引き違い窓」は、構造上どうしても気密性が低くなってしまいます。

 

流通量が多いので窓自体は安価なんですけどね。

 

気密性が低いと窓付近で冷気を感じやすくになります。

 

 

気密性を高めたいなら「縦すべり窓」など、ドアのような形状の窓が良いでしょう。

 

 


 

また、窓を小さくし過ぎると様々な弊害も出てきます。

 

まずは建築基準法。

 

実は法律で採光(窓)の確保が義務付けられていて、必要な窓の大きさまで決められているのです。

 

 

住宅の居室なら床面積に対して1/7の大きさの窓が必要になります。

(地下室などは居室であっても窓は無くてOK。当たり前ですが…)

 

 

つまり、7畳の部屋には畳約1枚分の大きさの窓が必要なのです。

(詳細な計算は複雑で実際には畳1枚分以下でもOKとなる場合が多い)

 

 

 

1/7の根拠は何?って思うのですが、最低限の住環境を確保するためにこれくらいの窓は設けましょう、という意味合いでしょうか。

 

 

耐震や防火の規定に比べ重要度は低いですが、しかし家はただ安心安全に住めればいいってものでもないですからね。

 

 

 

 

 

窓は断熱や採光だけではなく景色を取り入れたり屋外空間との繋がりを生んだりと、暮らしの質にも影響します。

 

 

また住宅密集地であっても窓の計画次第で、プライバシーを確保しながらも明るい空間を実現している例はたくさんあります。

 

 

 

断熱性能を追及することは良いことですが、他の大切なことを犠牲にしてまでというのはちょっと違うような気もします。

 

要はバランスですよね。

 

 

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