
一級建築士である私が設計した物件をはじめ、インテリアや家づくりについて情報発信しています。
また、築52年の中古住宅を購入しリノベした記録、日々の暮らしについても書いています。
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先日このような記事を書いたのですが
実際にその中古住宅(空き家)を見てきました。
期待に胸を躍らせていたのですが、
その期待は見事に打ち砕かれました。
というのも築70年越え(50年くらいかと思ってた…)で家の大部分に基礎がなかったのです。
石場建てと言いまして、神社など古い建物で見たことがある人もいるのではないでしょうか。
出典:綾部工務店
古くからある工法で石の上に束が建ててあるだけの一見頼りない構造ですが、現代ではその免震性能が見直されています。
とはいえその中古住宅の足元はガタガタ。(一部腐れているようにも…)
家の中を見るまでもなく購入は諦めました。
不動産会社の担当者も
「ですよね、他にも何名か住宅会社の方が見に来られましたが皆さん同じご意見で…」
「ただ、お一人だけ購入に前向きな方がおられたんですよね」
「その方は会社員で自分で直して賃貸にしたい、とのことでした」
はい、
いわゆるサラリーマン大家ですね。
激安物件を購入し業者を使わずDIYリフォームすることで費用を抑え、賃貸住宅として貸し出すのが一般的です。
確かにその物件は駅近で好立地で激安。
サラリーマン大家にはうってつけでしょう。
プロ顔負けのDIYリフォームをされるサラリーマン大家がいるのも事実ですが、多くは日曜大工に毛が生えたレベルです。
ましてや今回の中古住宅のように構造的な欠陥を改修補強するには、本職大工並の実力に加え建築構造の知識が不可欠です。
上記リンクにもあるように、例えば地震による倒壊等で入居者が被害を受けたり亡くなったりした場合、大家が責任を問われる可能性もあるのです。
これは我々住宅業者としても悩ましい問題です。
耐震補強と言えども、ある程度築年数が経っていると出来ることも限られてきます。
「安全の裏付けが得られない」
「責任が負えない」
とある同業者の方はそう言って中古住宅リノベ事業に消極的でした。
その気持ちとてもよく分かります。
自分の携わった物件で人が亡くなるなんて耐えられませんから。
だからと言って中古住宅リノベはやらない、
というわけにもいかないんですよね。
中古住宅リノベに一定のリスクがあることは事実です。
しかし世の中にゼロリスクなんて存在しませんし、そもそもゼロリスクを追求することで返って不利な状況に追い込まれることもあります。
私自身も築50年越えの中古住宅を耐震補強して暮らしてますが、大地震によって倒壊はしないけど損壊の可能性はあるだろうなと、一定のリスクは受け入れています。
あまり不安を煽るようなことばかり言ってると、それもそれで問題なのでこの辺にしておきますね。
とはいえ築年数の経った賃貸住宅(特に戸建て借家)には注意してください。
「耐震補強はしていますか?」
借りる前にしっかりと確認してくださいね。
東日本大震災から12年。
今一度気を引き締めて。
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