猫の物語 五 ヘイマン島のストロー<前篇>*:..。o○☆ | たぬきのしっぽ ☆彡

たぬきのしっぽ ☆彡

★チンチラたぬきと
メインクーンきつねの生活日記♡

おはようございます、大mamaです。
このところ、法事の準備や税金やなんやかやで
あわただしい日々を過ごしています。
年だから大変よ。

 

でも、キツネちゃんが
だんだん大きくなってきて
性格もやさしいから
良かったと思ってるの。
今3キロ足らずね。
今はたぬきちゃんが
500グラム少ないくらいね。
もっともっと差がつくと思うけど
二匹は仲良しだから
心配はしないわ。

 


猫の物語も5回目ね。
長い話を読んでくださってる皆さんには
本当に感謝しております。

タローは今度はお金持ちの飼い猫になったみたいよ。
でもお金持ちって本当に大変。
お金は人を狂わせるわね。
けっして他人事じゃないわ。

゚・:,。゚・:,。★゚・:,。゚・:,。☆ ゚・:,。゚・:,。★゚・:,。゚・:,。☆

『敵』は正面からやって来た。
地面をはいずって歩いている。
頭のケガはかなり重いようだ。
出血がかなり激しい。

昔のオレ、ストローなら
すぐに「かわいそう」とか言って
復讐はあきらめたかもしれない。
だが、今のオレは
オレではない。
あの優しかった飼い主ダビデ様を
あんなに苦しめて
痛めてあの世に送ったヤツを
決して許しはしない。
決して。

早くこっちに やって来い来い。
オレが敷き詰めた毒草のベッドまで。

この草に含まれた毒が
全身に回れば
もう長くは生きられない。
この草に触れたオレも
そう長くは生きられまい。

お前の罪は 
ひとつやふたつじゃない。
オレはみんな知っている。
知っていたけど
オレの最愛の猫ブランシュが
お前の飼い猫だから黙っていた。

そのブランシュも寿命がつきて
昨日天に召された。
だからオレにもう怖いものはない。
このチャンスを待っていた。

 


オレの飼い主ダビデ様は
この島の領主だった。
この国の法律では
妻は5人まで持てる。

え?うらやましい??
うらやましがる理由はひとつもない。

まず、妻が何人もいる場合
何人もの妻の間で
年がら年中トラブルが起きる。
それを裁くのはオレひとり。
どんなに大変か想像してみるといい。

もともと一夫多妻制が必要になった理由を
考えてみるとよい。
貧乏で戦争ばかりしている国では
男の数がどんどん減る。
一人の男が大勢の女子を養わなければ
世の中が回っていかないってわけだ。

オレの飼い主ダビデ様には
もともと3人の妻がいた。
美しい金髪のアリス様と
清楚な黒髪のリタ様
お茶目な茶髪のイリア様の3人だ。

そこにやって来たのが
赤い髪のダフネだ。
メイドとして屋敷に雇われた女性だった。

赤い髪のダフネは
ぽっちゃりした体つきの
美人と言うより
目鼻立ちのくっきりした
個性的な顔立ちの女性だった。


白い可愛い猫を連れてきて
オレの小脇に置き
さあこのドラ猫と
仲良くするのよブランシュ
私のためにね
と言った。
 


メイドのダフネは
どうしょうもないアバズレだが
ブランシュは素直な
かわいい猫だった。
オレとブランシュは
一緒に過ごすようになり
すぐに仲良くなった。
ダビデ様はそれを見て
オレたち2匹を
同じ部屋で暮らせるように
取り計らってくれた。


だが、飼い主ダビデ様には
次々と不幸が訪れた。
だが、それがみんな『敵』のせいだと
その時は全然気がつかなかった。

ダビデ様と産みの母の金髪のアリス様が
溺愛していた娘が17歳で亡くなった。

跡取り息子になるはずだった
20歳の金髪の息子が突然自殺した。
書置きもなく
いくら調べても死ぬ理由は
見つからなかった。

それから間もなく
黒髪リタ様の産んだ幼い息子が
川に転落死した。

こうしてダビデ様の屋敷からは
子供の声が聞こえなくなった。

 


一連の不幸な出来事に
領主の家は
悲しみに沈んでいた。

金髪のアリス様は
二人の子供を失って
病に倒れた。

屋敷には
学資をわざわざ飼い主が出して
外国で学ばせたという
ジョナサンと言う名の医者が呼ばれた。
その医者、ジョナサンを
いそいそと迎えに出た『敵』の顔に浮かんだ
何とも形容しがたい笑みを
オレは一生忘れることができない。

蜘蛛が引っかかった獲物を
見つめるような目とでも言ったら
一番近いかもしれない。

やって来た医者も
『敵』と目が合うと
何ともふてぶてしく
底知れなく冷たい笑顔を見せた。

この時感じた不安を恐れを
ダビデ様に伝える手段があったなら
どんなによかったことだろう。
 


その夜から金髪のアリス様は
医者ジョナサンのすすめる薬を飲み
三日目には
あの美しかった顔が
真っ黒に変色してしまった。


変わり果てた姿で
アリス様は
ダビデ様に内緒で
黒髪のリタ様を呼んだ。
二人が何を話したのか
オレにはわからない。

だがアリス様は『敵』の正体に
気づいてリタ様に教えたのだ。
そして翌朝、
黒髪のリタ様は
茶髪のイリア様とともに
屋敷から消えた。
ダビデ様がいくら探しても
リタ様とイリア様の行方は
まったく分からなかった。

そして
一週間後
アリス様が息をひきとった。

ダビデ様は
悲しみに打ちひしがれて
オレとブランシュを呼んだ。

お前たちを
可愛がってくれる人が
私とダフネしか
いなくなってしまったよ。
でも
ずっと私のところに
いてくれるね。

オレは
『敵』が身近にいて
アナタを狙っている
注意をしなければいけないと
にゃあにゃあ鳴いて
伝えようとした。
だが、オレの気持ちが
どうにもダビデ様に伝わらないうちに
『敵』がダビデ様に近づいてきた。

 

二匹は私が
お世話いたしますわと
メイドのダフネが
赤い髪をいじりながら言い
ダビデ様の肩にそっと
手を置いた。

私はよっぽどダフネの手に
噛みついてやろうかと思った。
そうすれば
ダビデ様が
この女の正体に
気づくかもしれない、と
考えた。

でも
次の瞬間
ブランシュが
赤毛のダフネの手を
ペロペロとなめ始め、
オレがダビデ様に
危機を知らせる好機を
奪ってしまった。

ブランシュにとっては
赤毛のダフネは
あくまで飼い主だったのだ。
そして
嘘みたいだが
あの悪魔のような女は
ブランシュに対しては
普通のやさしい飼い主だったのだ。

とにかく
ダビデ様から
離れないでいようと思った。
だが、
夜になると
オレとブランシュは
決まった部屋に入れられてしまう。

だんだんと
ダビデ様とダフネの距離が
縮まっていくのがわかり
オレは焦っていた。
いつの間にか
ダフネは屋敷で
奥様同然に振る舞っていた。

 

ある日
オレとブランシュが
ダビデ様の部屋でくつろいでいると
赤毛のダフネが
大切そうにお茶を運んで来た。

ダビデ様
これは名医のジョナサンが
西欧から持ち帰った
ハーブを煎じたお茶ですの。
身体によいそうですから
召し上がりませんか?

ああ、そこに置いといてくれ、と
ダビデ様は言った。

熱いうちでない
と効果がありませんのよ、と
ダフネはため息をついて見せた。

ダビデ様はお茶を飲もうとし
オレはそのカップに
飛びかかった。

(明日に続く)


 


読んでいただいてありがとうございます☆彡
押していただけると嬉しいです(*^.^*)

人気ブログランキングへ


こちらも押していただけると嬉しいです(*^▽^*)

にほんブログ村