金木犀の香りがどこへ行っても香ります。
田舎ですから、尚更のこと。
外で遊ぶことの多かった子ども時代の、懐かしい香りでもあります。
金木犀の小さな花を両手一杯拾って帰った後、手のひらに香りがついて、そのあまりの強さに気持ち悪くなってしまった思い出も。
今ほしいのは銀木犀。
香りは金木犀に劣るようですが、あのオレンジ色が今一つ気に入らないため、探しているうちに時が過ぎてしまいました。
中国ではお茶やお酒やお菓子や料理に上手に金木犀を使っています。
桂花、と呼びます。
古い洋館をリノベーションしたプチホテルに泊まった時、サンルームで頂いた朝食の、金木犀のスープに浮かんだゴマ餡団子がびっくりするほど美味しかった。
日差しの燦々と入るテラスには誰もいなくて、ボーイさんが二人がかりでお世話してくれました。
朝の太陽の光がキラキラとスープ皿に反射して、花びらも輝いて見えた。
その頃はまだ日本の旅行雑誌にも載っておらず、まして地元中国人客もほとんど見えず、値段もお値打ちな美しいホテルでした。
今は中国美女たちがインスタ映えを狙って大挙してはアフタヌーンティーを楽しむ、人気のお洒落ホテルとなり、料金は倍に。
残念。
銀木犀を入手したら、是非とも手作りしてみたいと願っています。
あの幸せな冬の朝食を思い出しながら。