ゴーフォワード | りうりー的房間

りうりー的房間

個人的、記録的、日記的、な。




薦められて読んだ本。
「○○さんが良かった、と言ってましたよ」と。
年上の○○さん。
どんなものに良かった、と言うのか気になり読んでみました。

名門大学のラグビー部でEチームからAチームのリザーブ入りまで果たしたが、公式試合には5分しか出場できなかった酒田公男は、就職が決まらず、恩師の伝手で私立櫻木学院高校の臨任体育講師の枠にもぐりこむ。そこで若い新理事長から、ラグビー部の立ち上げと花園出場を命じられ、背水の陣で挑むことに。なんとか集めた部員は、もちろん素人ばかり…。

というあらすじ。

よく知る競技のスポーツ小説は、「そんなことあるはずないよー」という不満な場面が多いので、あまり期待せずに読み進めました。
ところが、、、。

確かにそんなことないよ、の場面もありながら。
かつベタな青春スポーツドラマでもありながら。
半分からページをめくる手がとまらない。
一気に読み終わる頃には、涙ぐむ自分に驚きでした。

個性的なメンバーたち。
特別な能力のない引きこもりがちな子が、痛いこと苦しいことに耐えながら誰かのために踏ん張る喜びを知る場面には、胸が熱くなります。


同じ姿を見たことがあります。
同じ言葉を聞いたことがあります。
同じ涙を見たことがあります。
頭脳明晰、イケメン、万能、クールなキャプテンも実在することも知っている。
ジャイアントキリングがこのレベルならあり得ることも、実際に経験しています。

作者は三年の取材でこの小説を書き上げたそう。
よくできています。
私には、あ、これはあの学校。
あ、これはあのこと、とわかるものも多い。

なにより、つらいことや理不尽なことを子どもに強いることをコンプライアンスなどで遠ざける社会へのメッセージでもある気がします。
子ども自身は、それを避ける必要性をそれほど感じていないかも、とも思う。

そして近い知人の名も出てきます。


ブックレビューの評判も高い。
良書と出会いました。
もちろん、我が家の「酒田公男監督」にも薦めましたとも!