上海行き⑪思い出のホテルへ | りうりー的房間

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個人的、記録的、日記的、な。


リニューアルしてすんごく綺麗だから、と英俪が絶賛する、和平飯店北楼。



ため息の連続。
やはり、ここだよね。
私にとって思い出のホテル。
過去三回泊まりました、道を挟んだ南楼ですが。


一度目は留学前の大学生の頃でした。
成都から鉄路で1泊して重慶へ、三峡下りの船で鼠が走り回る部屋に4泊し、その後武漢から温州へ飛行機で移動、温州から小さなポンポン船で1泊しながら杭州へ移動。
杭州を観光した後、バスで上海へ移動。
そしてたどり着いた和平賓館。
疲労困憊の私に、フロントで「没有」の返事。
予約されていない、と。
中国国内旅行会社の予約票を見せ、必死で予約したと訴えるも、冷たい対応。
泣き出しそうな私に、ベテラン風の男性ホテルマンが近づいてきて、
そこのテーブルでお待ちなさい、今コーヒーを用意しますから。
少し調べますから時間がかかります、と私を椅子に案内しました。

ロビー脇のテーブルで出されたコーヒーを飲みながら、フロントの様子を伺うこと15分程、そのホテルマンが紙を手に近づいてきて、
「予約は南楼でした。こちらは北楼ですので予約の確認ができなかったのです。」と。
ベルボーイに私の荷物を運ぶよう指示し、ドアまで送ってくれました。
無事、南楼のしかも上階のスイートに宿泊とあいなりました。
私は和平飯店に北楼と南楼があることを知らなかったし、しかも別々の経営であることも知らなかった。
予約票にも記載はありませんでした。

あの時の心細い気持ち、
くたくたの頭と身体、
拙い中国語。
見上げていたのは、それまでの宿とは天と地の違いほどの、この入口のアーチでした。
今はフロントの場所も変わり、ロビーも広々しましたが、当時は薄暗く細い廊下の隅に小さなフロントがありました。



こちらが、件の南楼です。


その後、パパの友人たちとの旅で再訪し、宿泊は南楼であったものの、この北楼で食事をしたり、名物のジャズバンドの演奏を聴いたりしました。

更には、一度目の結婚で新婚旅行として南楼に宿泊したことも。

そんなことを英俪に話しながら。
老人たちが演奏することで有名なジャズバンドの話に大笑いしながら。
彼女もジャズを楽しんだそうです。
上手ではないんだよねー、と。

「上海ベイビー」という中国女性の小説がヒットしましたが、その中にもこの北楼が登場します。
何度か、この北楼が私の夢に出てきたりして、なんだか実際に北楼に泊まったような記憶の迷路に混乱しながら。