留学していた四川は、
激辛料理の地として日本でも有名ですが、
もちろん辛くない料理もあります。
と、大概説明されますが、
…辛いです。
激辛です。
少なくとも私が住まわっていた当時、
外食していたものはほぼ激辛です。
留学が始まって最初に食事をした大学近くの店は、宜浜燃面と看板を出していました。
宜浜は街の名で、燃面(麺、のことです)が名物なのです。
メニューはなく、
客は皆それを食べているので、
座ればそれが出てくるといった様子でした。
最近日本でも見るようになった汁なし坦々麺に似た姿で、水分の少ない肉味噌と多目の砕いたナッツが特徴。
よく混ぜて食べるのですが、
混ぜるに従いねっちょりもったりしますので啜ることはできず、
唇で口内へ呼び込んで噛むのです。
ええ、もし啜ったりすればその辛さが気管に入り死んでしまったでしょう。
結果、唇は唐辛子の辛さと花椒の痺れで、
一体どこまでが私の唇なのかわからなくなる、という恐ろしい料理です。
これが私の洗礼でありました。
それまで四川には数度訪れており、
料理も口にしていましたが、
いざ暮らすことになった最初のことでした。
半分以上残し、涎を垂らしているかもわからない感覚のない唇に呆然としながら、
私はここで生きていけるのだろうかと心配になったことを覚えています。
一年後に帰国するときには、
燃面は一杯を軽く平らげ、
より辛い面も汁まで飲み干すほどになりましたがね。
そんな辛さが懐かしいときは、
似て非なるものですが、
四川人の友人に教えられた麺です。
茹でた中華麺を流水で洗い、
なんでもいい四川ものの辛い調味料をかけ、砂糖と酢と花椒、刻んだニンニクを加えて混ぜるだけ。
具は不用。
暑い日は特にオススメです。
私はまぶたから汗が出ました…。
莉娜、どうしているかな?
痺れる唇は、いろいろなことを思い出させてくれます。
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