小さい頃に何度も何度も読み返した本。
「ぐりとぐら」の著者の作品で、小さいお話集になっています。
冒頭の「さちこちゃん」から、何かが私の脳の奥を叩きます。
記憶の中がもぞもぞして、少し居心地が悪い。
でも、改めて読んで、その素晴らしさに気付きました。
小さい私が好きだったのは、「もんたのなつやすみ」。
おさるのもんたが海行きの切符を作るところ。
おかあさんに「うみゆき」と書いてもらっておひさまはらっぱのブランコに乗る。
海はやめて空に行くことにしようとおかあさんに頼んで、下に「空ゆき」と書いてもらう。
私も、切符を作ったことを覚えています。
それをポケットに入れて、ブランコを大きく漕いだことも。
最後のシーンはステキです。
もんたの切符を見て、おとうさん(もちろんさる)が、
「よしきた。あしたは もんたを せなかにのせて、うみと空と いっしょになるところまで およいでいこう。」
と言うのです。
多忙だった父が、毎年夏に三日だけ休みをとって海へ連れて行ってくれました。
混雑した浜辺も、日焼けの痛みも好きじゃなかったけど、
家族で旅行するのが嬉しかった。
このお話を読んで、そんなことも思い出しました。