大きくはないが、重厚で、古い調度品に囲まれたロビーは、
陽光が射しこんで明るい。
深々としたソファに座り、雑誌を読むこともできる。
壁面には往時の貝氏一族や、ここで催された晩餐会の写真などが飾られていた。
敬愛する宋慶齢の誕生祝いに撮られたものもあった。
美しく手入れされた庭の芝生も青々としている。
周囲はマンションやビルに囲まれているが、空気が違って感じられた。
喧騒も届かない。
一方通行の道に面し、アプローチも長い。
チェックアウトの際、タクシーを、と依頼すると電話で手配をし、にこやかにソファを勧めてくれた。
しばしの後、タクシーを玄関前に誘導したベルボーイの笑顔に送られてホテルを離れた。
中国一サービスが良い、と人気の火鍋屋にも、コンビニにも、ご希望なら夜な夜な西洋人が集うクラブにも近い。
100mも歩かずに南京西路に出る。
静安寺駅にも程近い。
立地は抜群、で静謐な時間が過ごせる。
スタッフは極めて感じがよい。
朝食は部屋にトレーで運んでくれる。
帰国してから気付いたのだが、どうやら部屋はアップグレードされていたようだ。
「agoda」から¥13300で予約したのだが、¥17600の内容だった。
チェックインに同行していた弟くんは、
以前宿泊を考えていたことがあったらしく、結局大手外資系ホテルに泊まったことを激しく後悔していた。
間違いなく、良いホテルだ。
再び上海を訪れるときには、必ずこちらへ泊まるだろう。
日本ではまださほど知られていない。
滞在中、日本人どころか、宿泊客と遭遇することもなかった。
静かさを保ってほしい。