職場のある街は、ある日、音に覆われていた。
半日の間、日常生活には影響がない、でも青空を震わせる、
まどろんでいたなら確実に目を覚ますだろう音。
ひとしきりの音が遠くなると、また徐々に近付いてくる。
それはヘリコプターと飛行機の音だ。
演習である。
またある日には、遠く雷鳴を思わせる音が響く。
低く地を渡ってくる。
時に窓ガラスを小さく揺らす。
地鳴りのような音に、初めて聞いたときは窓から身を乗り出した。
砲弾の音。
演習である。
毎日ではない。
街の人は慣れている、と気にしない。
でも抜けるような青空を背に、雄々しくそびえる富士山からの冷気をたたえるこの街の、
「それもまた日常の一つ。」に、
私は、三年経っても、慣れることがない。
批判ではなく、これもまたこの街の日常であると、言いたかったのです。