USPTOが、AIを使ったサーチを実施し、関連文献を最大10件通知するというパイロットプログラムを開始すると発表しました(プレスリリース)。
このプロセスは、実体審査開始前に実施され、通知を受け取った出願人は、サーチ結果に基づき自発補正をする、審査の延期を申請する、放棄の申し立てをするといったアクションをとることができます。
このパイロットプログラムは、自動的にすべての出願に適用されるわけではなく、出願人がPetitionを提出し、費用を支払って参加手続きをする必要があります。
なお、本プログラムは、PCT経由での出願(国内移行・バイパス出願問わず)では利用できません。
米国特許法第35編第111条(a)に基づき提出された、継続出願ではない非仮出願のみが、このパイロットプログラムに参加できる。したがって、以下の出願は含まれない:
米国特許法第35編第371条に基づき国内段階に移行した国際出願、植物出願、意匠出願、および再発行出願。
さらに、継続出願(継続出願、分割出願、または一部継続出願)も含まれない。
一方、日本出願を基礎とする、いわゆるパリルートでの米国出願であれば、形式的要件を満たすことにより、利用が可能のようです。
・パイロット期間は 2025/10/20 ~ 2026/4/20 (但し出願が1600件に到達したら終了)
・庁手数料 $420 (スモールエンティティは $168, マイクロエンティティは $84) (37 CFR 1.17(f))
・docx形式で明細書を提出する
・Petitionを提出する など
ファーストOAを受け取る前に、引用文献となる可能性の高い文献に基づいて自発補正が可能となるので、プロセキューション全体でみたとき、OA回数削減=コスト削減効果はあると思います。一方で、審査官がどの拒絶理由で、どの引用文献をどう当て込んでくるか不明であり、仮に自発補正ができたところで、どこまで拒絶理由を抑制できるかは不透明です。
試してみる価値があるかどうか、判断が難しいところですが、私の第一印象としては、庁手数料 $420 + 事務所の事務手数料 + 補正クレームを準備する弁護士・弁理士手数料を考慮すると、ファーストOAを待ったので良いのではないか(同じコストを費やすなら、出願前にクレームや明細書のブラッシュアップに使ったほうが有意義なのではないか)と思います。