特許適格性に関する2つの事件についての裁量上訴の申立て | The U.S. Patent Practice

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米国の特許実務で長らく問題であり続けている特許法第101条、特許適格性について、今日のニュース(IPWatchDog, Lexology)で、2件の裁量上訴の申立て (Petition for Writ of Certiorari) があったことを知りましたので、記録しておきます。

 

IMPACT ENGINE, INC. v. GOOGLE LLC (Fed. Cir. 2024/7/3)

申立書

 

Audio Evolution Diagnostics, Inc. v. United States & GlobalMedia Group, LLC

申立書

 

前者の申立では、Aliceに由来する判断だけでなく、いわゆるミーンズプラスファンクションクレームの解釈と適格性の問題について言及しています。

If left undisturbed, virtually all means-plus-function patent claims will be abstract. A function divorced from its corresponding structure is inherently abstract.

(このまま放置すれば、事実上すべてのミーンズプラスファンクションクレームは抽象的となる。対応する構造から切り離された機能は、本質的に抽象的である。)by Google Translate

 

112(f)の存在意義からも、101条の適用について明確な判断基準が必要という主張です。ぜひ頑張っていただきたいです。

 

そして、後者の申立では、Aliceの問題に加えて、CAFCが理由を述べず簡易的に下級審の決定を支持 (Affirm) できるRule 36についての疑問を呈しています。特許適格性なしとの下級審の判断に対し、CAFCが何ら理由を示せず単に "Affirmed" とするのは訴訟当事者にとって不都合というわけです。

 

また、両者ともに、現在の不安定な状況によってイノベーションが阻害される点についても問題としています。

 

特許適格性の基準の明確化について言われ始めて久しいですが、その流れは着実にできてきているような気がします。また続報があればお知らせいたします。