USPTOから新しく情報 (FAQs on Inventorship Guidance for AI-assisted Inventions)が出されたので、この情報自体はあまりインパクトのあるものでははないものの、この機会に米国でのAIの発明者適格についてまとめておきたいと思います。
Q. そもそもAIは米国において発明者になれるか?
A. なれない。 by CAFC
Thaler v. Vidal (2022/8/5)
https://www.cafc.uscourts.gov/opinions-orders/21-2347.OPINION.8-5-2022_1988142.pdf
Q. なぜ?
A. 特許法(AIA) 第100条(f) は、発明者を、発明をした、あるいは発明の主題を発見した「個人」(individual)であると規定している。
(f) 「発明者」という用語は,発明の主題を発明又は発見した個人又は,共同発明の場合は, 集合的にそれらの個人を意味する。
特許法において、その「個人」についての定義はないが、最高裁の判例によれば、通常、「個人」(individual)という名詞は、「人間」(a human being, a person)を意味するとされており、辞書も同様である。
また、特許法第115条(b)(2)では、「個人」(individual) を参照する際、"himself" "herself" という単語が使用され、"itself"という用語は使用されていない。従って、人間ではない物を許容するような規定となっていない。
- (b) REQUIRED STATEMENTS.—An oath or declaration under subsection (a) shall contain statements that—
- (1) . . .
- (2) such individual believes himself or herself to be the original inventor or an original joint inventor of a claimed invention in the application.
この条文は宣誓書の提出を要求するが、AIが自身を最初の発明者であると信じることを示す記録はない。
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この後、2024年2月に、USPTOは、AIを使用した発明についての発明者適格のガイダンスを発表し、パブリックコメントを集めました。基本的には、AIを使用して生まれた発明であっても、自然人が大きく貢献したものについては、その自然人の発明者適格を認めるというものです。
そして、先日出されたFAQの要点は、以下の通りです。
- 発明者適格の分析は、既存の発明者認定方法と同様、発明の構想に対する自然人の貢献があったか否かに着目する
- USPTOや審査官は、願書に記載された発明者が実際の発明者と推定する
- 上記のガイダンスにより、AIの使用状況などについて、従来以上の情報開示義務を課すものではない