UTTO Inc. (特許権者) v. Metrotech Corp. (Fed. Cir. 2024/10/18)
判決文原文:
https://cafc.uscourts.gov/opinions-orders/23-1435.OPINION.10-18-2024_2404584.pdf
地面に埋められたアセット(電線、電話線など)を検出する方法についての発明で、クレームに記載された「ある特定の埋められたアセットに対応する一群のアセットデータ点 ("a group of buried asset data points corresponding to a particular buried asset"」が「二以上 ("two or more")」と解釈されるかどうかが問題となった事案です。
Metrotechが実施する製品は、一つのアセットに対応するアセットデータ点が一つしかありませんでした。そのため、Metrotechは、Rule 12(b)(6)における訴え却下の申立てをし、地裁は、この段階で "a group of buried asset data points" を "two or more (burried asset data points)"と解釈し、申立てを認めていました。
UTTOは、これを不服として控訴した訳ですが、CAFCは以下のように結論づけました。
・Rule 12(b)(6)の申立ての手続きにおいてクレーム解釈を行うことは、断定的に禁止 (categorically forbidden)されている訳ではない
・通常かつ慣習的な意味に従うと、複数を表す語 (a plural term) は二以上 (two or more)を意味すると推定される
・明細書中、「一以上のデータアセット ("one or more buried asset data points")」 について二回言及されており、上記推定が覆されるべきかは、外部証拠と合わせてさらに検討されるべきである
結果として審理は差し戻しとなり、本件における "a group of"の解釈は、引き続き地裁にて争われることになります。
一群の物をクレームに記載するとき、その数が単一である可能性を残したい場合には、複数を示唆する用語 a group of, a set ofなどの使用は避け、one or more, at least one などを用いて記載することを心がけましょう。