Google v. Ecofactor (Fed.Cir. 24/2/7) Claim | The U.S. Patent Practice

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Google LLC and Ecobee, Inc. v.  EcoFactor, Inc. (Fed. Cir. 2024/2/7)  PTABの限定的解釈を誤りとしたケース。

 

判決文原文 : https://cafc.uscourts.gov/opinions-orders/22-1750.OPINION.2-7-2024_2266326.pdf

 

PTABは、”…の少なくとも一部に基づいて(based at least in part on)”に続く形でクレームに列挙された5つのパラメータ [i]-[v]が、「別個の異なる(separate and distinct)」ものと解釈し、一のパラメータが残りのパラメータから計算されるようなケースは除かれると判断していました。

 

 

CAFCは、クレームの文言上、そのような除外を示す限定はないため、一のパラメータが他のパラメータから計算して求まるケースも含まれると判断しました。

 

なお、この争点は、「別個に列挙されたクレーム限定は、別個の異なる物理的構造を示し得る」という過去の判例によるものです。
Powell v. Home Depot U.S.A., Inc., (Fed. Cir. 2011)

 

CAFCは、本件において、これは推定に過ぎず、特定の特許の文脈で反駁され得るとしました。

 

また、CAFCは、PTABが引用したclaim differentiationについての判例にも言及し、「(その)原則は、特許の各クレームは異なるスコープを有するという反駁可能な推定を作るにすぎず、クレーム解釈の一つの指針なのであって、一つの厳格なルールではない」と述べています。

Curtiss-Wright Flow Control Corp. v. Velan, Inc., (Fed. Cir. 2006)

 

主にパラメータやデータのような非構造物を列挙しているクレームにおいて、based on A+B+Cなどと記載されており、引例がA, Bに基づくことに加えて、A, Bから導出されるCに基づくことを開示しているとき、この引例によって拒絶されます。この場合、Cは、A, Bから独立している(CがA, Bから求まる場合を除く)ことを明記することで解消できる可能性があります。

 

(※追記・・・と書きましたが、過程はどうあれCが開示されているのであれば、審査の段階では自明とされるケースのほうが多いようにも思います。)


なお、本事件では、一つのパラメータが他のパラメータから計算されることが実施形態で開示されていたことも、CAFCの判断の一助となりました。