今夏の北ア、バリエーション1本目は前穂北尾根から
【2019.07.20(土)-21(日)】
梅雨はまだ明けずとも
この週末日曜はまずまずの好天予報が出た。
これはチャンスとばかりに
バリエーション山行を計画。
ただ、前週多摩湖でラントレした時に
ふくらはぎを痛めてしまい
体が万全な状態ではない。
バリエーションやるためにトレーニングしてきたのに
いざ本場って時に怪我してるって
いいマヌケっぷり。
嘆いてもしょうがないので
バリエーションの中でも
体力的負担の少ないところを狙うことに。
イージーなバリエーションルートとして浮かんだのが
前穂北尾根。
ルート自体は短いしアプローチも楽。
土曜に涸沢まで行って小屋泊し、
翌日に5、6のコルから北尾根を上がる二日間行程であれば
体力的負担は少ない。
もし山頂到達時に足の状態が良ければ
前穂から明神主稜へとバリエーションを繋げてもいい。
なんて欲張りオプションプランも考えながら
土曜の朝、チビさんと沢渡に向かった。
この日は涸沢へ移動するだけなので
急ぐ必要はない。
沢渡からバスで上高地に上がり
10時半頃山行スタート。
朝からずっと雨が降ったりやんだり。
天気はイマイチだけど
今日は明日の山行のための
いわゆる「仕込み」の日。
明日さえ天気が良ければそれで良し。
ただ、夏の雨は厄介だ。
カッパを着て歩くのは暑くてたまらない。
多少の雨はカッパなしで歩いていたが
雨が強く降り出せば
暑くてもカッパを着ざるをえない。
カッパを着て歩き始めたと思ったら
すぐに雨は止み
カッパを脱げば五分後にはまた雨。
その繰り返し。
完全に雨神様に遊ばれてるし。
雨で濡れ、汗で濡れ
グダグダになりつつ涸沢ヒュッテに到着。
濡れたものは乾燥室で乾かせるので
雨の日の小屋泊は助かる。
小屋の夕飯をたらふくいただき
早めの就寝。
翌朝は3時半に起床。
朝飯食べて、しっかりストレッチして
4時40分に小屋を出た。
先ずは5、6のコルまでひと登り。
ほぼ夏道が出ていたが
雪渓の方が歩きやすいので
アイゼン付けて雪の上を登り進んだ。
1時間で5、6のコルに到着。
天気は高曇りで、風もほとんど無い。
青空こそなかったが
富士山まで見渡せるほど展望抜群。
しかも、先にも後にもハイカーは見当たらず
こんな好条件ながら我々だけの貸切。
昨日の仕込みが大成功！
今日はじっくりクライミングを楽しめる。
早速登攀装備を整え
先ずは5峰に取り付いた。
一丁やったるか
久しぶりの北尾根にちょっとドキドキ。
バリエーションの面白さは
スリルとこのドキドキ感を味わえるところにあると思ってる。
一般ルートでは味わえないスリルと
ほどよい難度のクライミングを楽しめる北尾根は
我々にとっては最高のバリエーションルート。
北尾根はお気に入り。なので毎年登ってる。
5峰の頂に近づくと
目の前にドカンと4峰が現れる。
この迫力がたまらない。
心臓バクバクしちゃう！
4峰の楽しみはルートファインディング。
既に何度も登っているので
大体のルートは覚えてしまっている。
それでも細かな岩の一つ一つを覚えているわけではないので、
目の前の岩をどう乗り越えるか
それを考えながら登るのは
面白くてたまらない。
浮石多数。ひとつひとつ確認しながら
岩登りも楽しいけど
ちょっと休憩した時に周りを見渡せば
北アの大展望が広がるって
ホント最高！
北アのど真ん中でのクライミングは
最高の楽しさを味わうことができた。
4峰を越えると、次はお楽しみの3峰。
ここはロープ登攀となる。
今回の山行で最も不安だったのが
このロープワーク。
岩登り自体に不安はないのだが
ロープワークは久しぶりなのでちょいと不安。
3峰
他にハイカーはいないので
ゆっくり、慎重にやれるのが助かる。
ぎこちなくも、何とかロープワークをこなし
ピッチを進めていく。
快適なクライミングルート
ロープワークはイマイチだったが
クライミング自体は楽しかった。
ボブも登攀
スリルを味わいながら3峰を越えると
前穂の山頂はもう目の前。
2峰から本峰を望む
2峰でこれまた久しぶりの懸垂下降を楽しみ
その後、ひと登りで山頂到達。
久しぶりなのでかなりぎこちない
最高の達成感。
この達成感はバリエーションならではのもの。
前穂高岳山頂到達
登って来た北尾根を見下ろし
満足感に浸る。
左から2峰、その影に3峰、右の三角山が4峰
遥か遠くを見渡せば、前週登った鹿島槍や
前々週に登ったジャンダルム。
西穂－奥穂の稜線
前二週の山行も楽しかったが
バリエーションは面白さがひと味違う。
最高の達成感を味わいながら
大展望広がる静かな前穂山頂を楽しんだ。
前週登った鹿島槍
今回のオプションとして
下山ルートには明神主稜をやることも考えていたが、
多少ふくらはぎに疲労を感じたので
今回は無理せず一般ルートで下山することに。
明神主稜はまた今度
重太郎新道を一気に下り
上高地へ戻った。
今夏一本目のバリエーション山行を
無事終えることができた。
やっぱり前穂北尾根はいいルート。
今回、快晴とはいかなかったが
あれだけの展望を望めたので十分満足。
チャンスがあれば
今シーズンもう一度やってみよう。
いい山行だった。